第09話 唯一無二 ページ9
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真に受けないように。
もはや、それは義務感に変わっていた。
まともに取り合えば、傷つくのは私であって、彼ではない。
それに彼は、私のことなどきっと、気にも留めないだろう。
何せ、黒尾くんは黒尾くんだからだ。
いいなぁ、私も、そうなりたい。
あなたのように、ほどよく、自由奔放に。
「黒尾くんって良いよね」
「お、やっと俺の魅力に気づいてくれた?」
「ん〜、ちょっと違うけど」
「何だ、ちげーの」
「黒尾くんの雰囲気って独特で良いなぁって思っただけ」
もちろん、あなたの魅力はよくわかってるよ。……とは、言わなかった。
図に乗ったときの黒尾くんは、正直ムカつくから。
「余裕ありそうとはよく言われる」
「やっぱり?どうやったらそうなれるの。私なんていつも焦ってばっかりなのに」
「なれるよ。すぐ」
「どうやって?」
「まずは髪の毛をこう…」
「ビジュアルは無理」
「ぷっ、うそうそ、冗談。でも、良いと思うよ、Aの雰囲気も」
『俺は好き』と、黒尾くんが言う。
息するみたいに。
「好きだけどな、Aのその感じ。丁度いい。他の誰よりも。な?」
黒尾くんはそう言って、笑った。
私の目を見て、小さく頷きながら。
私の心臓は、その仕草に、その声色に、ドキドキと大きな音を立てた。
取り合うな。
まともに。
「過大評価、ありがとう」
「本心だって」
「ほんと?」
「疑ってんの?」
「疑ってるよ。だって黒尾くんだもん」
「俺のこと何だと思ってんの」
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pomme(プロフ) - 処刑人さん» ありがとうございます🫶🏻🧚🏻♀️🫶🏻 (2月24日 11時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
処刑人 - ちゅき♡ (2月24日 1時) (レス) @page48 id: 7578fd3293 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - かおりさん» ありがとうございます🙏🏻🥳 (12月25日 19時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - きゅんきゅんします💕続き楽しみにしております✨ (12月25日 5時) (レス) @page44 id: bad28e8810 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pomme | 作成日時:2023年8月7日 23時