ゆめゆめゆられて.1 ページ11
自分がどんな姿をして何を考えていたのか知らない。しかしとにかく体が重い。
鉛のような自分はどこかの道を歩く。舗装されてないあぜ道。周りの風景も人も無かったが、辺りは暗闇に包まれている。
やがて、私は一つの広場に出た。ぽつんと街灯が立つだけの広場。
目を凝らせば人影が動く。どうやら何人もいるようだ。それに触れようと手を伸ばすが、空を切るばかりで届かない。
なんで、私はここにいるのに。
声は出ず、ただもがくばかり。
そのうち後ろに強い力で引っ張られた。
道の上を何かに引きずりこまれ、体は噛み砕かれ、どろどろに溶かされそして、
「……夢、か」
朝からなんとも目覚めが悪い。夢にしてはリアルだった。
未だ鮮明に思い出せる。生々しいほどに。
……嫌だな、夢なんかいつもは見ないのに。久しぶりに見た夢がこれだなんて最悪だ。
時計を見ると短針は五を指している。ああ、早く目が覚めてしまった。
私は仕方なくベッドから出て、朝食の準備に取り掛かった。
***
それから一週間。同じ夢を見続けた。
そして日に日に人影が鮮明に分かるようになってきていた。
最初はオスマンとトントン。その次にゾム先輩でグルッペン。コネシマ、ひとらん、大先生、ロボロにエーミール教授。
次々に形がはっきりとしてくる分、私は怖くなってしまった。
だって、彼らに触れられないのだから。ずっと届かないまま私は終わってしまう。認識をされず、存在を否定されているようなものだ。
それが一週間。私は寝る度に体力や神経が削られているような気がする。
「あれ、最近食欲無いんか？」
夕食の時に指摘され、私はギクリとする。
目の前の料理はトントンの手作りでどれも美味しそうなのに、食べる気が起きない。
そんな私を心配してくれたのか、ロボロは顔を覗きこんできた。
「熱でもあるんちゃう？」
「あー、ロボロ君が人の彼女に手出してるー。いけないんだー」
「やかましいわ！」
コネシマの冷やかしも、なんだか今はつっこむ気になれない。
「シャオちゃんいないからってそういうのは駄目やで童貞ロボロ君」
「黙っとけ大先生」
シャオくんとペ神、オスマンは敵国に偵察に向かってるため明日までいない。
兄さんも教授も不在で、トントンが苦労しているのが伝わってくる。
「ありがとうロボロ。お腹空いてないんだ」
「そっか。体調には気をつけてな」
しっかり私の分まで食べるロボロ。
……シャオくん早く帰ってこないかなあ。
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さとうきび(プロフ) - えるをん×@×IAさん» コメントありがとうございます！これからも精進してまいります。応援、よろしくお願いします！ (2018年4月5日 22時) (
レス) id: d7a52c799a (このIDを非表示/違反報告)
えるをん×@×IA(プロフ) - とても素敵な作品だなと思いながら読ませていただいている者です。これからも頑張って下さい(´q`) (2018年4月5日 0時) (レス) id: b8e4739678 (このIDを非表示/違反報告)
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