ゆめゆめゆられて.6 ページ16
国の幹部となれば、それなりの手厚い待遇を受ける。
キングサイズぐらいあるベッド。広いその上に、縮こまるように二人密着する姿は、滑稽かもしれない。
「……し、シャオくん、私、離れた方が」
「ぜ、全然大丈夫、うん、大丈夫……」
向かい合うように寝そべり、私が息を吐けばシャオくんの胸に当たるような距離。
私的にはくっついていたい、と思うが、そこはぐっと我慢する。だって、こうしているだけで満足だから。
……何分経っただろうか。
外はゴロゴロと音をたてていて、雨が窓を叩く。
怖くなるが、シャオくんは規則正しい息をしている。寝てしまったのか。
起こすわけにもいかず、一人カタカタと震える。
いっそ寝てしまえば、いや、また夢を見るかもしれない。
気持ちに陰がかかったその時、今日一番の雷が落ちた。
「ひっ……」
怖い。
怖い。
怖い。
助けて、誰か、
「……大丈夫」
息を吸うと、お日様の匂いがした。
髪を梳かされ、時折背中を規則正しく叩かれる。
耳を澄ますと、シャオくんのちょっと早い鼓動が聞こえた。
「……おやすみ、A」
「うん、おやすみなさい……」
私も手をシャオくんの背中に回し、離れないようにする。
いつの間にか、雷は聞こえなくなっていた。
ああ、なんだか今日は、夢を見ない気がする。
『A』
規則正しい呼吸をしていることに安心した。
外は小鳥が鳴いている。さっきトントンがAを探してたけど、まあ、もう少し眠らせておこう。
嵐は過ぎて、外には水溜りが出来ているだろう。きっと外での訓練は難しい。今日は武道場に行こうか。
隣に寝ているA。寝ている時の顔はいつもより幼い。
しっかりしているが、中身はただの女の子。それを銃と表情で隠しているだけ。
そんな彼女がたまらなく愛おしいのだ。
寝る前の震えている肩は小さかった。押し殺した声は弱々しいものだった。
少しでも、俺が、
「ん……う……」
寝返りをうつA。しばらく寝てないのだろう。起きるまで顔を見ていたいが、そうも言ってられない。
男女が同じベッドに寝る、なんてすることは一つだと思っていたが、この雰囲気も悪くは無い。このゆったりとした空気は心地よい。
「おはよう」
未だ眠る彼女。その表情はどこか笑っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1042人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さとうきび(プロフ) - えるをん×@×IAさん» コメントありがとうございます！これからも精進してまいります。応援、よろしくお願いします！ (2018年4月5日 22時) (
レス) id: d7a52c799a (このIDを非表示/違反報告)
えるをん×@×IA(プロフ) - とても素敵な作品だなと思いながら読ませていただいている者です。これからも頑張って下さい(´q`) (2018年4月5日 0時) (レス) id: b8e4739678 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
