23 ページ23
.
「いないよー」
「えっ、意外！」
「そう？好きな人もいないし。今は恋愛モードじゃないかな」
「そっか、仕事も忙しいもんなー」
はい、終了。
"恋愛モードじゃない"女の子にこれ以上踏み込むほど、俺はまだ自信ありません。
「岸くんは彼女いるでしょ」
「俺！？いないいない！マジでもう何年もいない！」
「えー！そうなの！なんかめっちゃ長い彼女いそう」
「ふは、何それ！」
「岸くんの彼女になったら絶対幸せだよね、美味しいお蕎麦屋さんいっぱい知ってるし」
じゃあ彼女になってよ
なんて言える訳ねぇ。
つーかその台詞は反則じゃないの？
思わせぶりは、天然？それとも計算？
「すみません、閉店のお時間です」
気づくと午前0時を回っていたらしい。
はーい、と店員に挨拶したAちゃんは、帰る支度を始めた。
「ちょっと俺トイレ行ってくる」
「うん、行ってらっしゃい」
トイレに行くフリをして、会計を済ませ、Aちゃんの分のタクシーを呼んでもらった。
普段はケチなんていじられてるけど、やっぱ好きな女の子の前ではカッコつけたい…つーかまぁこれが普通か。
「お待たせ」
部屋に戻ると、スマホもいじらず待っててくれたAちゃん。
こういうとこも、結構好きかな。
「じゃあ、行こっか」
「うん！美味しかったー」
「ありがとうございました。タクシー到着しております」
店員さんが言うと、驚いて俺を見るAちゃん。
「えっ？お金…タクシーまで」
「あぁ、なんか今日は店長のおごりだって」
「そんな訳ないじゃん」
「ははは」
「…ありがとう！ごちそうさま！めっちゃ楽しかったよ」
「俺も楽しかった。気つけてね」
「蕎麦会、誰か誘っとくー！じゃあまた明日ね！おやすみ」
「おやすみ」
俺がそう言ったのを合図にするかのように、Aちゃんを乗せたタクシーのドアが閉まった。
ちょっとは距離、縮められたかな。
蕎麦会の会員が増える前にまた近々俺から誘わないと。
酔い覚ましと、少しまだ高ぶる気持ちを抑えるために、俺は少し歩くことにした。
「やっぱ好きだわ」
誰にも聞こえることのない告白は、確実に冬に向かっている秋の空に浮かんで消えた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 629人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
a(プロフ) - コアラさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2019年1月21日 17時) (
レス) id: e68ce683f6 (このIDを非表示/違反報告)
a(プロフ) - るるるさん» ありがとうございます！嬉しすぎます。。更新頑張りますね！ (2019年1月21日 17時) (レス) id: e68ce683f6 (このIDを非表示/違反報告)
コアラ - 続きがとても楽しみです！頑張ってくださいね (2019年1月21日 16時) (レス) id: 4ddbf6bb99 (このIDを非表示/違反報告)
るるる(プロフ) - いつも拝見させて頂いております。こんなに面白くてワクワクして続きが気になる作品に初めて出会いました。いつも更新楽しみにしております！ (2019年1月16日 15時) (レス) id: e03c1e5a40 (このIDを非表示/違反報告)
a(プロフ) - 叶恋さん» わー！嬉しすぎて泣きそうです！ありがとうございます！頑張りますね。 (2019年1月13日 22時) (レス) id: e68ce683f6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：a | 作成日時：2018年9月11日 23時
