ディアハイヒール (ページ7)

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渡辺side

コンビニて応急処置用の化粧水を買って、そそくさと出る。

この後、ドラッグストアでいつも使ってるやつ買っとかないと。

そう思って家路に着くと、まだ帰ってないAセンパイがいた。

待ってたのかな？

……ふは、可愛い。

渡「あ、じゃ、俺帰るんで」

「えー、しょっぴーの家って駅の方でしょ？私もそっちに用があるから一緒に帰ろ」

……なんて上目遣いで言ってくるもんだから、断れなくて。

結局一緒に帰っていた。

そして、駅に着いた頃。

「あ、康二だ。康二ーっ！」

今１番聞きたくない名前が飛び出してきた。

今日もあいつとデートかよ。

向「あ、Aちゃ……ん？」

ほら、あいつも困ってんじゃん。

まぁそうだよな。

いるはずのない恋敵が目の前にいるんだし。

「２人って会ったことないよね？」

俺らの気持ちにも気づかず呑気に話を進めるセンパイにちょっとイラッとした。

いや、この前──

渡「あるよ」

向「あるで」

図った訳でもないのに、何故かあいつとハモってしまった。

あー、ウザっ。

「２人とも息ぴったりじゃん」

Aセンパイに至ってはくすくす笑い始めるし。

別にこんな奴と息ぴったりでも嬉しくない。

挙げ句の果てにはセンパイが

「意外と気が合うんじゃない？」

なんて言い出した。

マジそれだけは勘弁。

だけど、あいつはそれほど気にしてない様子でセンパイと一緒に笑った。

向「そうやとええなぁ」

「ほな、行こか」って軽く呟いて、あいつは改札に向かう。

「待ってよ康二ー！ ……バイバイ、しょっぴー」

小さく手を振ってAセンパイも改札口に消えた。

やっぱ気に食わねぇ。

あの"康二"とかいう人から──

センパイを奪ってやる。