特別な思い ページ3
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食堂から出て向かった先は図書室。
特に何かをするつもりではないが、資料や本に囲まれるのも悪くない。
何の本を読もうか、そう思って本棚を眺めていると、肩を叩かれる。誰だろう。
「Aさん、一人でいるなんて珍しいっすね」
「天海か。一人でいるなんて珍しくないと思うんだが」
「それは嘘っすね。さっき王馬くんが食堂で東条さんに怒られてたの見たっす」
なるほど。私は王馬と一緒にいることが多いから、皆の中でセットと定着しているのか。そして"私が一人でいるなんて珍しくない"というのを天海は嘘だと思っているわけね。
私は苦笑いして、肩を竦めた。これは話を合わせておこう。
「……ご名答。一緒に過ごそうとしてるやつがあれじゃあね」
本棚に視線を戻して、再度本を探そうかと考えれば、天海が本棚への視線を奪うかのように目の前に現れた。
「じゃあ、俺と少しお話ししないっすか」
言われて、何を話せばいいだろうと考える。
これと言って話す話題が思い付かない。怪盗のことはおおっぴらに話すことではないと考えているからなぁ。
すると、天海がニッと微かに笑った。話題を思い付いたのか、口を開く。
「Aさんはよく王馬くんと一緒にいるっすけど、なにか特別な思いとかあるんすか？」
「難しいこと聞くね天海」
「ははっ、すみません」
悪びれのない爽やかな笑顔だ。
王馬に特別な思いか……色々な思い出がリフレインしてきて、笑ってしまう。
「王馬は私にとってかけがえのない人だよ。嘘を吐いてみんなのこと振り回したりするけど、時々見える優しさがある。それを私は知ってる。
……私は、そんな王馬が好きなんだよ」
「そういうことは天海ちゃんじゃなくてオレに言えよ！」
「はっ、」
驚きのあまり、息が漏れた。
後ろからここに来れるはずのない見知った声が聞こえて、身体をそっちへ向けてみれば、悪の総統様が「にししっ」と笑っていた。
「天海、いつから気付いてた」
「Aさんが王馬くんの話を始めたときっす」
初めからじゃねぇか。
「もー！どこに行っちゃったかと思ったら天海ちゃんに詰め寄られてて、オレ焦っちゃったじゃん！
まあでも、そのおかげでいいこと聞けたし、オレとしては満足かなー
ねぇ、オレもAちゃんが大好きだよ！本当だよ」
さっきの私の発言と王馬の発言に、一気に顔が熱くなって、とうとう私は手で顔を覆った。
「今レーザーがあったら罠でも飛び込みたい」
「物騒っすね」
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徒花 - この作品初めて見ましたが面白かったです！頑張ってください (2019年4月27日 18時) (
レス) id: 5d280f12f7 (このIDを非表示/違反報告)
虎都. - バレンタインの話、あんまり甘くないのが逆に総統様と怪盗様らしくて笑えました。面白かったです！ (2017年2月14日 23時) (レス) id: 4744b28933 (このIDを非表示/違反報告)
ハニー(プロフ) - バレンタインのお話ありがとうございました！嘘の数だけ渡すとは…(用意するの大変そう)さすが怪盗ちゃんですね！ (2017年2月14日 22時) (レス) id: eef7a7128b (このIDを非表示/違反報告)
永月(プロフ) - ymさん» ymさんこんばんは！ 「魔法」と「魔法の代償」が頂いたリクエストの作品です…！やっぱり絡ませるなら"魔法"のことかなと思って作りましたが、いかがだったでしょうか( ´ω`) 最原くん第二推しでしたか！出して良かった( 風邪；；早めに元気になるといいな…！ (2017年2月10日 17時) (レス) id: 1f4de0da30 (このIDを非表示/違反報告)
ym(プロフ) - こんにちは！ 更新されていましたので見にきたら夢野ちゃん……！ そして第二の推し候補(笑)でもある最原くんがいることにびっくりしました！ 風邪で何もかも億劫と感じていたのですが、元気が出ました。ありがとうございましたヽ(；▽；)ノ (2017年2月9日 17時) (レス) id: 6aaa42abf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：永月 | 作成日時：2017年2月2日 16時
