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No side
時を少し遡り_______
3月13日、午前。
ある用事で出掛けようとしていたAは身支度を整えガチャ、と扉を開けた。
すると直後、ゴンッという鈍い、明らか何かに当たった音がする。
慌てて扉を引きぶつかったものを確認すると…
「!え、お、朧…?」
「………」
「っご、ごめん見ずに開けちゃって…!大丈夫…⁉」
「…大丈夫、だ」
額を押さえてうずくまる、朧の姿があった。
声をかけると罰が悪そうに立ち上がり、赤くなった額と恥ずかしいのか同じように染まっている頰。
可愛い姿に思わずくすっと彼女が笑うと不機嫌そうに舌打ちをして視線を逸らす。
「……礼を、言いに来た。この間は世話になったな」
「どういたしまして。元気になって良かった」
「っああ。お前のおかげだ」
ふわり、と微笑んだAにまた熱くなる頰。
加速していく鼓動に戸惑いながらも、彼も笑顔を見せる。
お礼を言えてスッキリした彼は去ろうとしたが、それをAがくん、と服を掴み阻止した。
「待って、朧。あのね、迷惑じゃなければもう少しだけ一緒にいてて欲しいんだけど…」
「____ッ!!」
駄目かな?と必然的になってしまう上目遣いにクラ…と頭が揺れる。
何か意図がある、そう分かっててもどこか期待してしまうような言葉。
抱きしめたい衝動を必死に抑え、朧は「ああ」と頷いた。
「良かった…。バレンタインの日にね、朧と松陽だけは渡せなかったから…」
「…?」
「えっとね、バレンタインっていうのは元々女の子が好きな男の子にチョコレートを送る日なんだけど…。最近ではもう色々な想いでチョコレートを渡すイベントみたいになっちゃって」
「………」
「だから私も便乗していつもありがとうって感謝の想いを込めてチョコレートを作ったんだけど二人には会えなくて渡せなかったからさ」
今から材料買いに行って作るので、貰ってくれますか?
どこか恥ずかしそうに言う彼女に、頷かない男はいないだろう。
口元に手を当て、どうにか頷く事だけ出来た朧にAは顔を輝かせる。
じゃあすぐ買いに行って来ます、と言って去って行こうとしたAを今度は朧が止め、どうせならと二人で行く事になった。
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____この事が、波乱の幕開けとなる事も知らずに。
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かっぱの子(プロフ) - リンゴさん» ありがとうございます!作者も出来れば全員の落ちが書きたい…!とは思うんですが(^^;全員分作れるよう頑張りますね!! (2018年3月27日 21時) (レス) id: 28c80c45d6 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ - めっちゃ面白いです!はまりました!ときどきピンクがあるのがまたいい!沖田最高です!できれば全員の落ちがみたい・・・です! (2018年3月19日 20時) (レス) id: 493df71fa5 (このIDを非表示/違反報告)
かっぱの子(プロフ) - こあらさん» ありがとうございます!!^ ^もう既に大分話数くっちゃってますね…wこれからもっともっと急展開になっていくのでお楽しみ下さい!! (2018年3月16日 11時) (レス) id: 56c25e8926 (このIDを非表示/違反報告)
こあら(プロフ) - やったー!一番だー!新作出したと聞いたので急いで飛んできました!!いやー今回もとても楽しみです!ー相変わらず大好きです!ほかの作品もずっと応援しています!これからも更新頑張ってください!もう一度言います!大好きです!長文失礼しました! (2018年3月11日 23時) (レス) id: 1bc18c067e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かっぱの子 | 作成日時:2018年3月11日 20時