ここにいる【銀魂】第12章

501 ページ12

side貴方








「晋助、耳かきしてあげよっか」



「……あ？」






ベッドに座ってくれと言われ腰を下ろすと、その上に頭を預けてきた彼。


最近は万斉やまた子ちゃんや、他に人がいる時でも甘えてきてくれるけどこれは今までになく、もう可愛くて可愛くて言葉にならなかった。


しばらくサラサラの髪を撫でていた時ふと思いついたのでそう言ってみると最初は何言ってんだって声だったけど数秒経って、



「…頼む」



と言った。



耳かきを借り戻ってこれば再び預けられた頭。


落ちてくる自分の髪と彼の髪をそれぞれ耳にかけ耳かきをそっと落としていく。






「痛かったら言ってね」



「……ああ」







肩の力は抜けてるから大丈夫そう…かな？


何も話さない静かな空間。


でもそれは心地の良いもので、ほっこりと気持ちが和む。




どのぐらいしていたのか、そろそろもう片耳もする？と話しかけるけど返事がない。


これはもしや…







「ふふ、やっぱり」






ひょいと顔を覗き込むと、穏やかな寝息を立て眠っていた。



よくおばあちゃんにしてもらう耳かきが安心して、気持ちよくて眠ってしまうという話を聞いた事があるけど、晋助もそんな風に思ってくれたのかな。



……そうだといいな。






淡い期待を心に抱く。



そ…と頭を膝から退けて枕にバトンタッチし、布団を掛けると耳かきを戻してベッド脇まで戻ってきた。


床に座りベッド上に両腕をのせ、片腕に顔を預けすぐ側にある綺麗な顔を見つめる。





「無防備だなぁ…」





つい悪戯したくなり、つん、と頰をつつけば思いの外柔らかかった。


晋助は硬いイメージがあったんだけど違ったみたいだ。




ふと目がゴツゴツと骨ばった手にいく。


さっきも撫でてくれた暖かい手。






「………今だけ、だから」






______________欲張りになってもいいですか？









きゅ、とその手を握り瞼を閉じた_______




.

502→←500

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す