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side貴方
「…………晋助は帰らなくていいの?」
すっかりお店の中には人が居なくなって。
先程まで騒がしかったのが嘘のように静寂が流れている。
そんな中まだ席を立とうとしない晋助に近づき尋ねた。
「……お前が終わるまで待っとく」
「え、なんで」
「…もう外も暗ぇし、危ねぇだろ。送る」
「大丈夫だよそんなのいつもの事だし。
ほら、晋助も大分飲んでるんだから早く帰って寝ないと明日に響くよ?」
「…………特に用事はねぇから大丈夫だ」
だから早く仕事終わらせてこい、と言う晋助。
…………何だか申し訳ない。
一連の話を聞いていたおじさんは何やらニヤニヤして、ある程度片付けが終わるともういいからと言って送り出してくれた。
「晋助、お待たせ」
「……もういいのか?」
「なんかおじさんがいいからいってあげなって…」
「…………そうか。なら、行くぞ」
「え、ちょ…晋助!」
私の手をとるといきなり歩き出し、何故かおじさんに会釈をしてからお店を出て行く晋助。
気のせいかな。おじさん凄い良い笑顔してた。
…………それよりも…。
「えーと…あの、晋助?」
「何だ」
「私自分で歩けるから、手、繋がなくて大丈夫だよ?」
お店を出てからずっと私の手首を掴んだまま歩き続ける晋助に声をかけた。
だけど私がその言葉を言った途端、眉を寄せる晋助。
「……嫌なのか?」
「え?あ、嫌…とかじゃないんだけど」
「そうか」
「……え、あの、晋助…?」
嫌じゃない、そう言ったら頬を緩め、今度は手首ではなく指を絡ませて握ってきた。
そしてさも当然のように歩き出す。
あれ、これ突っ込んだらだめな感じかな。
そんな涼しい顔されたら何も言えないんだけど…。
…………ま、いいか。
月明かりを頼りに私達は川沿いをゆっくりと歩く。
繋いだ手からは晋助の温もりが伝わり、少し寒かった夜の気温も温かいものへと変わっていった。
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夜叉丸(プロフ) - すごいです!この神がかったて文才分けてください...あ、私は最近占ツク始めた白銀月というものです!あの...よければ話読んでみてくれませんか? (2019年6月25日 20時) (レス) id: a5f796a462 (このIDを非表示/違反報告)
かっぱの子 - 神無さん» ありがとうございます!!これからもよろしくお願いします!! (2017年9月14日 18時) (レス) id: 56c25e8926 (このIDを非表示/違反報告)
かっぱの子 - 小鳥遊☆優さん» お返事遅くなってすみません!ありがとうございます!!吉田松陽は出て来る予定ですよ!もうしばらくお待ちください^ ^ (2017年9月14日 18時) (レス) id: 56c25e8926 (このIDを非表示/違反報告)
神無 - この小説を読んだ瞬間にかっぱの子さんの大ファンになってしまいました!これからも応援してます! (2017年8月21日 2時) (レス) id: d0c87e0316 (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊☆優(プロフ) - また、かっぱの子さんの小説大好きです!これから最新頑張って下さい。応援しています。 (2017年8月18日 14時) (レス) id: ac9ea514ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かっぱの子 | 作成日時:2017年6月27日 21時