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side貴方









皆の目が彼に向く。



その中で彼は唯一私だけを見つめ、言葉を繋いだ。









「…君は、『自分の問題』だと言った。“何か”を知っているんだろう。_________一つだけ、答えてくれないか」









_________君がアイツ等を、殺そうとしたのか?









訝しむわけでも、探るようにでもない、ただ真っ直ぐに向けられる瞳。



真選組局長の彼も、一人の人間である近藤勲()も、この人の瞳はいつだって、誰にだって変わらない。



きっといつもその瞳に酷い表情(かお)を見せていた。


貴方にもそんな表情をさせてしまっていた。









_________ちゃんと応えなきゃ。




逸さずに背筋を伸ばして胸にある想いを抱きしめた後、ゆっくり口を開く。









「________違います」



「___!」



「…彼等は、私にとってとても大切で、大好きな人達ですから」








ずっと傍に居させてほしい。



何よりも大切で、守りたい人達。







声に確かな力をのせて伝える。



隣に居てくれる彼は繋いだ手をもう一度強く繋ぎ直すと、柔らかく微笑んでくれた。






ようやく言葉にできた本当の気持ち。




伝えられた心。








しっかりと瞳を見つめ返し応えた私に、近藤さんは満足そうに、そして嬉しそうに普段よりももっと優しい表情で







「______そうか」








と笑ってくれた。



そして私達の側まで来ると、隊士の方の手錠を持つ手に自身の手のひらを重ね、静かにその手を下げさせる。









「______手錠は必要ない。もちろん神威殿にもだ」



「なっ…⁉局長、貴方まで…っ!!!」









当然、それに黙っていられないのは隊士の方で、彼を強く非難した。






近藤さんは私を気遣ってそう言って下さったんだろう。


でも隊士の方が主張することも分かっている。



知り合いであろうが身内であろうが個人の情に流されてはいけない。


危険なもの、疑わしきものにはその疑念が完全に晴れるまで、この江戸を守るために錠をかけ繋いでおく_________それが、警察だ。








……………大丈夫。




強がりじゃない。



例えそれを掛けられても、もう恐れない。



皆を信じるって、信じてもらえるように手を伸ばすって決めたから。








でも近藤さんは、静かに首を振った。






.

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kon(プロフ) - 続き楽しみに待ってます  体調等に気を付けてくださいね   (2021年9月11日 15時) (レス) id: e47e7d9c51 (このIDを非表示/違反報告)
かっぱの子(プロフ) - 皆さまコメントありがとうございます…!!更新が遅くなってしまい、本当に申し訳ございません…!しかもシリアス続きで甘々が少なく…重ねて申し訳ないばかりです…m(_ _)m甘々を早く書けるように頑張ります!! (2021年2月23日 21時) (レス) id: 7fb8980516 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 更新楽しみに待ってます (2021年2月14日 21時) (レス) id: 15df573ef8 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 更新ありがとうございます!! (2021年2月11日 0時) (レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
リエ - 更新たのしみにしてます! (2021年1月19日 22時) (レス) id: 62560190e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かっぱの子 | 作成日時:2020年2月9日 21時

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