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side神威
…ごめん、卑怯なやり方だって分かってる。
でもこうでも言わなきゃ本当の気持ちに触れられないから。
口から離れた手が遠慮がちに服を掴んだ時、頭を引き寄せ肩口に顔を埋めさせた。
また息を詰めたのが分かる。
服を握りしめる手はどんどん血色が無くなっていて、心臓がきつく縛られる苦しさに襲われながら、それでも離してたまるかと更に腕に力を込め言葉を待つ。
長いような短いような時間が過ぎ、さぁ…っと風が吹き抜けた時、絞り出すような小さな声が耳に届いた。
「………ぃ」
「ん…?」
「…神楽達と、一緒に、いて…っ!そんな風に思ったこと、ない…‼」
「「…っ!!」」
「_______...そっか」
良かったな、神楽。
強張る肩を撫でながら、顔だけ後ろにいる二人に向ける。
ちゃんとアイツらにも聞こえていたみたいで、口を引き結び涙を堪える表情に思わず「ふっ…」と笑ってしまった。
…ら、神楽からまた怒号が浴びせられた。
やっぱりすぐキレるなお前。
「…相変わらず、Aは優しいなぁ。不満の一つや二つ言ってもいいのに」
「……っ、優しいのは、神威だよ」
「…?俺?」
「…ごめん、なさい。嫌に、なる…なんて、そんな嘘....つかせて、本当に、ごめんなさ…ッ!」
「…俺は本音しか言わないよ。なぁ神楽」
「あァん⁉ていうかさっきの言葉全部ブーメランで自分のとこ返ってくるアルからナ!!!全っ部お前のことネ‼」
「よくぞ言った妹」
「何?阿伏兎」
「イエナニモ」
笑顔を向けると勢いよく首を横に振る阿伏兎。
……しっかり聞こえてたけどしょうがないから今回は追及しないであげるか。
だって今、俺達のいつも通りのやり取りに少しだけ君の肩の力が抜けた気がしたから。
「…ねぇ、A。俺からもお願い」
「…?」
「手間がかかる妹だけど、Aの気が向いたら“また”、遊んでやってよ」
ほら、俺やおまわりさんが遊んでやると色んなとこから怒られるからさ。
なんて冗談めかして言うとまた後ろから「ごもっとも」とか聞こえてきたからとりあえずポケットに入ってた飴をぶん投げておいた。
見ずに投げたけど、多分どこかしらには当たったと思う。「ぐふっ‼」って聞こえたし。
それ食べて黙ってろ。
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kon(プロフ) - 続き楽しみに待ってます 体調等に気を付けてくださいね (2021年9月11日 15時) (レス) id: e47e7d9c51 (このIDを非表示/違反報告)
かっぱの子(プロフ) - 皆さまコメントありがとうございます…!!更新が遅くなってしまい、本当に申し訳ございません…!しかもシリアス続きで甘々が少なく…重ねて申し訳ないばかりです…m(_ _)m甘々を早く書けるように頑張ります!! (2021年2月23日 21時) (レス) id: 7fb8980516 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 更新楽しみに待ってます (2021年2月14日 21時) (レス) id: 15df573ef8 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 更新ありがとうございます!! (2021年2月11日 0時) (レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
リエ - 更新たのしみにしてます! (2021年1月19日 22時) (レス) id: 62560190e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かっぱの子 | 作成日時:2020年2月9日 21時