お嬢の狂犬

惨劇 ページ16

あれから2日後、阿部さんが来る日。

岩本は私を家まで送ったあと仕事ですぐにいなくなる。

最近忙しそうだな、と思いながら阿部さんを待っていた。


インターホンのベルが鳴り、私は玄関まで急ぐ。

組員が連れてきてくれたのは阿部さんともう1人、言われていた物理の専門の人だろう。


阿部「こちら組員の葉山です」

葉山「初めまして、本日はよろしくお願いします」

A「よろしくお願いします！」


確かに物静かそう…阿部さんもいつもより落ち着いた雰囲気だし…


部屋に通していつも通り教科書を開く。

阿部さんの隣に葉山さんが座る。


葉山「あーちょうど難しいところですね」

A「物理本当に苦手で…」

葉山「大丈夫です、僕教えるの自信あるので」


阿部さんとは違ったタイプだな、あと話すと結構明るい…？


阿部さんと葉山さんに教えて貰いながら物理を解く。

確かに分かりやすい、たまに専門用語が聞こえるけどそれも解説してくれるから知識もつくし。


阿部「…僕御手洗行ってきてもいいですか？」

A「あ、どうぞ。場所は…」

阿部「出て右に行くんですよね」


覚えちゃいました、と笑った阿部さんは部屋を出ていった。


葉山さんと2人、少し緊張するけど説明を受けながら問題を解いていく。


葉山「Aさんって一人っ子でしたっけ？」

A「あ、そうです」


兄弟欲しかったけどうちは大家族みたいなもんだから寂しくもない。


葉山「そうですか、じゃあ…」




葉山「Aさんが死んだら直系がいなくなるんですね」


A「え……」


すごいことを口にした葉山さん、驚いて隣を見るといつの間にか出した包丁を持っていた。

やばい、と思って叫ぼうとするも恐怖で声が出ない。

そっか、きっと阿部さんもこのために私に近づいて…岩本を信じていればよかった、今更の後悔。



葉山「これで柿沼組も終わりだ！！」



目を瞑って痛みを覚悟した時、私は誰かに抱きしめられた。

予想していない感覚にゆっくり目を開ける。




そこには私を強く抱きしめる阿部さんがいた。

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