第31話 ページ32
きっと、全部嘘だったんだ。
可愛いって言ってくれたのも、特別って言ってくれたのも、なにもかも、お店に来て欲しいゆえの言葉で。
私はそれにまんまと踊らせれていたわけだ。さすが3B、信じてはいけない相手。
私はクリスマスイヴの日、外で2時間待ち続け、既読のつかないスマホを眺め続け、帰宅した。
家に着くや否やお風呂に入り身にまとっていた飾りを全て落とした。メイクも髪も服も、全部全部無駄だったとわかったから。
そして直ぐに彼の連絡先を消した。跡形もなく、もう何も関われないように。
そして私はあの美容院に通うことをやめ、髪を伸ばす決意をした。
2時間外で待ったせいで風邪をひいた私はまともな年末を過ごすことは出来ず。長い休日も家にひきこもってるだけで終わり、社会人生活。変わらない日常が戻ってきた。
新年会やらなんやらでバタバタしていて彼のことを考える時間は少なかった。いつもなら嫌な飲み会も、今だけはありがたかった。
美容院の前を通らないようにして帰宅する日々。あの人がどんな生活をしているかなんて、知らない。知りたくもない。もう関わらないんだから。
そして私は新しい美容院に足を運んだ。髪は切らないでトリートメントと色が落ちてきたからカラーだけ。全てを上書きするように、自分を変えたかった。
そこの美容師さんは女性だったんだけどすごくいい人で、次はここにしようと決めた。優しいし、上手だし。女性なら安心だし。
それから3ヶ月くらい経った。私の髪は肩上だったのが肩につくようになった。彼に切ってもらってからはもう4ヶ月くらい経ったのか、てことは最後に会ってからそれくらい経ったんだ。
なんて、考えるくらいには頭の中にいるあの人。意味ないのに、考えるだけ無駄なのに。本当、ずるい人だ。
そんな思いを抱えた会社からの帰り道。いつも通り少し遠回りをして美容院を避けて帰る。とは言っても駅前で会う可能性はあるんだけど、今までは大丈夫だったし人に紛れてなら分からない。
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meno(プロフ) - 初めましてっ 読ませて頂きました!! 毎話毎話悶え…ふっっっっっっっっっっかああああああああ!!!!! ってなってました← これはお気に入り作者登録必須ですね、登録してない人人生損です、はい これからも小説投稿よろしくお願い致します!! (2021年3月18日 11時) (レス) id: a41f81c6b1 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 本当に毎日みんさんの小説更新が楽しみで癒しの小説だなぁと思っていたのでこれからも最後まで小説読みたいと思える小説に巡り会えたこと私自身とても嬉しいですずっと応援してます!!! (2020年12月7日 0時) (レス) id: c8f17d7735 (このIDを非表示/違反報告)
みん(プロフ) - 月さん» 月様!コメントありがとうございます!こちらこそプレイリストでの紹介までして下さり、すごく嬉しかったです(;_;)また最後まで読みたい!と思ってくださるような作品を作れるように頑張りますので、これからもよろしくお願いします<(_ _)> (2020年12月6日 22時) (レス) id: c2c6a86059 (このIDを非表示/違反報告)
みん(プロフ) - あぴさん» コメントありがとうございます!ふっかさんの面白いところも含めてリア恋だなぁと思うのでコメディもちょっとだけ意識してました!なのでそう言って頂けて凄く嬉しいです(;_;)最後まで読んでくださりありがとうございました!次回作もぜひよろしくお願いします<(_ _)> (2020年12月6日 22時) (レス) id: c2c6a86059 (このIDを非表示/違反報告)
みん(プロフ) - ぷりんぷりんさん» コメントありがとうございます!私もその後の話もう少し書きたかったなぁという気持ちが...笑 今までの作品で同じように感じたものが多かったのでまとめて短編集的なのだそうかな...とも思ってます笑 決まり次第報告させて頂きます!これからもよろしくお願いします! (2020年12月6日 22時) (レス) id: c2c6a86059 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みん | 作成日時:2020年10月27日 17時