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途端にどどどってぜんぶの感覚が戻って、耳がキーンってなった。
「あ、はい、そうですよ?」
「申し訳、ないんですけど、場所がわからないん、です。ビール、ついでに、持ってきてもらえま、せんか?」
たどたどしい、標準語。
この人、東京の人じゃないなってすぐわかる。
なんで私がって心の中では思ってたのに、口からこぼれたのは了解の意で。
「ビール、どうぞ…」
自分のとあの男の分、2つ持って席に戻ったら、上着やらキャップやら外した彼が、振り向いてにっこり笑った。
「あ、ありがとうございます」
ビール、落とすかと思った。
だって、うそでしょ?
ラジオで、言ってた。
よく行くって。最近ハマってるって。
でも、だからってまさか、私の隣に座るなんてことある?
話しかけられるなんてこと、ある?
「ん、座らないん、ですか?」
目の前にいるのが、すばるだなんて、誰が思うのだろう。
きっと、これっきりだ。
私はここで運を使い果たしたんだ。
今年のライブとか、期待しないようにしよう。
その分、今目に焼き付けておこう。
そっと、椅子を引いて座った。
ライブを楽しむふりして、ビール飲みながらすばるをじっと見て。
時々目をつむったり、体を揺らしてリズムを取るすばるを。
しっかり目に焼き付けた。
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ことりーぬ(プロフ) - ∞りっちゃん∞さん» コメントありがとうございます!いいとこに気づいてくださいました!今回出てきた方もどうなるのか、シリーズを楽しみにしてください! (2015年11月14日 16時) (レス) id: 466d89bbb0 (このIDを非表示/違反報告)
∞りっちゃん∞(プロフ) - 前回のお話と少しつながってる部分があって素敵です。更新頑張って下さい (2015年11月14日 14時) (レス) id: a0d9c12414 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことりーぬ | 作成日時:2015年11月12日 16時