検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:477,162 hit

▽3 ページ4

途端にどどどってぜんぶの感覚が戻って、耳がキーンってなった。

「あ、はい、そうですよ?」

「申し訳、ないんですけど、場所がわからないん、です。ビール、ついでに、持ってきてもらえま、せんか?」

たどたどしい、標準語。
この人、東京の人じゃないなってすぐわかる。
なんで私がって心の中では思ってたのに、口からこぼれたのは了解の意で。



「ビール、どうぞ…」

自分のとあの男の分、2つ持って席に戻ったら、上着やらキャップやら外した彼が、振り向いてにっこり笑った。

「あ、ありがとうございます」

ビール、落とすかと思った。

だって、うそでしょ?
ラジオで、言ってた。
よく行くって。最近ハマってるって。

でも、だからってまさか、私の隣に座るなんてことある?
話しかけられるなんてこと、ある?

「ん、座らないん、ですか?」

目の前にいるのが、すばるだなんて、誰が思うのだろう。

きっと、これっきりだ。
私はここで運を使い果たしたんだ。
今年のライブとか、期待しないようにしよう。
その分、今目に焼き付けておこう。

そっと、椅子を引いて座った。
ライブを楽しむふりして、ビール飲みながらすばるをじっと見て。

時々目をつむったり、体を揺らしてリズムを取るすばるを。
しっかり目に焼き付けた。

▽4→←▽2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (238 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
275人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ことりーぬ(プロフ) - ∞りっちゃん∞さん» コメントありがとうございます!いいとこに気づいてくださいました!今回出てきた方もどうなるのか、シリーズを楽しみにしてください! (2015年11月14日 16時) (レス) id: 466d89bbb0 (このIDを非表示/違反報告)
∞りっちゃん∞(プロフ) - 前回のお話と少しつながってる部分があって素敵です。更新頑張って下さい (2015年11月14日 14時) (レス) id: a0d9c12414 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ことりーぬ | 作成日時:2015年11月12日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。