蒼い月の詩 (ページ27)

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27話ページ27

雷門中と一緒に戦うことになった木暮だが自分の意志とは関係なく話が進んでしまい驚きと本当に宇宙人と戦うのかという不安でいっぱいだった。正直怖い。ボールを持つ手に力が入る。

「い、いやでも、俺…」

「なに怖じ気づいてんの！皆を見返すチャンスじゃない！」

「でも…だって……でも…」

　不安と恐怖から俯き持っていたボールを額に押し付けブルブルと小刻みに震えている。下から覗き込むように木暮を見ていた春奈は姿勢を戻し、

「大丈夫よ、木暮くんなら。私信じてるから」

　“信じる”という言葉に反応した木暮は不安に満ちた表情のまま顔をあげた。

「俺を…信じてる？」

「ええ信じてるわ。木暮くんならきっとやってくれるって」

　真剣な顔で木暮をまっすぐ見つめて言いきった。

　試合が始まる少し前、雷門中側のベンチでは木暮が雷門の6番のユニフォームに身を包みマネージャーと漫遊寺サッカー部が見守るなか靴紐を結んでいた木暮に瞳子が声をかけた。

「君にはDFをお願いするわ」

「俺がDF…」

「適任だと思うけど不服かしら」

「べつに、地味だなって思って」

　ぶっきらぼうに返す木暮に「じゃあどこがいいっていうの？」と呆れぎみに聞いた夏未に対して無愛想に

「こだわってないんでDFでいいです」

と返した。可愛いげがないなと上はジャージー下はユニフォームのハーフパンツ姿でベンチに座っている蒼龍は思った。試合には出ないが万が一なにかあったときの為に、ユニフォームは着込んでいる。

「ま、せいぜい怪我しないことですね」と眼鏡をいじりながら嫌味を言ってきた目鏡を木暮はキッと睨み付けた。こいつも可愛いげがないと密かに蒼龍は思ったが口に出すようなことはしなかった。