遥かなる未来へ～～～１ (ページ25)

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２５：重みページ25

「……しょう、く、ん…」

呆然としたような大野の声に、櫻井は我に返った。

「…！」

やってしまった…

自分の感情に押し流されないようにと、肝に銘じていたはずなのに。

しかもこんな大野の弱った時に付け込むようなタイミングでの告白。

優しい大野はまた自分の痛みを横に置いて、しかも自分に対するメンバーからの告白に心を砕かなければならない…

この人に余計な負担をかけてしまう…

櫻井は後悔に苛まれて唇を噛みしめ、思わず目を閉じて頭を垂れた。

(智くんを支えなきゃならないときに、俺はなんてことを…！)

「ごめん…智くん、俺、…こんなこと言うつもりじゃなかったんだ…」

「…」

「ごめん…俺…

智くんを支えたいなんて言いながら、結局智くんに負担かけて…」
「翔くん」

櫻井の言葉をさえぎるように、大野が呼びかけた。

「…え」

ふわりと風が動いて、甘い香りが櫻井の身体に纏わりついた。いつかの息苦しさを思い出した。

気づくと大野が櫻井の腕の中にいた。

「さと・・し・・くん？」

「…翔くん、ちょっと、胸、貸して…よね…」

櫻井の肩に熱いものが広がっていた。

大野が、あの大野が、泣いている…自分の胸で…

櫻井はふっと息を吐くと、大野の背中にそっと手を回した。

その身体は櫻井の腕の中にすっぽりと収まって、いつも見ていたものと違ってとても小さなものに感じられた。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

どのくらい経ったのだろう。

いつしか櫻井の片手は、まるで子供を宥めるかのように大野の髪をゆっくりと撫でていた。

震えていた大野の肩から力が抜け、小さくしゃくりあげていた息は次第に落ち着いて整ってきた。

櫻井はそっと肩に手をかけ、その身体を起こした。

大野は目を合わすまいとするかのように俯いたままだった。

乱れてしまった前髪が降りて、その表情は見えない。

あえてその顔を見ないまま、そっとソファに座らせた。

ホットタオルを作って戻ってくると、大野は項垂れたまま深くソファに沈み込んでいた。

「…智くん、これ、少し目に当てて？」

「…ん」

その手にタオルを握らせると

顔を上げないまま目の辺りに当てて顔を上げ、ソファの背もたれに頭を乗せた。

暗い中に浮かび上がる彼の頬のラインが

夢のように美しかった。