２２：本音 ページ22
「…」
「俺やニノはさ…ジュニアの頃の、あなたの踊りを見てたから…
智くんと一緒にやれることになって、嬉しいより光栄より、自分が大丈夫なのか？足引っ張らないか？って不安だったよ。
でもさ。智くんは…
デビューしてからあなたがジュニアの頃のダンスを、嵐のために封印したような気がして。
ずっとそのことが…負い目、で…」
「…」
「今回も、ニノなんてさ、もう大野さんがいなくなったらって、ぱにくっちゃってさ、ははっ・・・」
「…」
「…あいつ…大野さんの背中だけを追いかけてきた、大野さんがいなかったら…って…」
「…翔くん、は？」
「…え？」
「…もし…おいらがいなかったら、翔くんは、どう…なの？」
「…」
「もし、おいらが嵐をやめたら、翔くんは、…どう思うの？」
「……嫌だ。」
さっきとは打って変わった小さな声でつぶやいた。
「え？」
「…嫌だ…嫌だよ…智くんが、いない…なんて…」
「翔くん…」
「俺、あなたいなかったら、どうすりゃいいのさ？！」
「翔くん」
大野は氷のすっかり解けたグラスをテーブルに置いて、櫻井の方に向き直った。
縋るような目を見つめて、ふと微笑んだ。
「翔くん…おいら、行かないよ？」
「さとし…くん…」
「安心して？おいら、ずっと嵐にいるよ？嵐でいさせてよ(笑)」
「…」
「変な心配をかけちゃってたんだね。悪かった、ごめんね？」
櫻井は肝心なことを伝えるべく、グラスを置くと頭を振ってもう一度息を吸った。
「…智くん、聞いて？」
「ん？」
「ごめん。自分の事ばっかり言って…」
「そんなことないよ、翔くんは…」
「…一番恐れているのは、智くんがいなくなることじゃ、ないんだ。」
「…どういうこと？」
「さっきも言ったけど…智くん…俺たちのために、我慢してない？」
「…え？」
「智くん…本当にやりたいことを、やりたいように、やってる？」
「…翔くん」
「俺…智くんのこと、一番そばで見てきたと思ってた。いや、今でも思ってる。
でも、智くんの本心が…わかんないんだよ……」
「…翔くん…」
「だから…言ってほしいんだ。教えてほしいんだ。
俺に…
俺に智くんを、支えさせてほしいんだ」
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作者名：tororo
| 作成日時：2011年10月13日 18時
