若頭に溺愛されています【るぅと】

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Aside

「行ってきます」

彼は私の頭を撫でる

『行ってらっしゃい！』

『…るぅとさん』

手を振って見送るも、キスしたくなって彼を呼び止める

彼はきょとんとした顔で振り向く

私は彼のネクタイを引っ張って唇を重ねる

それで離れるつもりだった

だけど、彼は私の頭に手を押さえて

こうなると思ってなくて息をあんまり吸わなかった

だから息が苦しい

とんとんっと、彼の胸を叩くも、離してくれない

咄嗟に息を吸い込むも、彼は待ってましたと言うように舌を入れる

体がふわっと浮いて、持ち上げられてるのが分かる

舌を絡めた後、ゆっくり離れた

彼は少し微笑んで、胸がきゅっと締め付けられる

早く仕事に行かせてあげなきゃなのに、なぜか引き留めたくって

『るぅとさん』

彼の名前を呼ぶ

「ん？どうしたの？」

『るぅとさん』

別に用なんてないから、彼の名前を呼ぶだけ

「なにを望んでるの〜？」

私の心の中を覗くように顔を眺められる

んー、別に望みとかないんだけどなぁ

るぅとさんとまだこのままで居たい…ってのはダメだし…

今日はお仕事行かないで欲しいなんて言えないし…

寂しいなんて、恥ずかしくて言えないし…

モヤモヤと考えていると、奥から「もう出発するでー？」とジェルさんの声が聞こえる

だけど彼は「ちょっと待って、！」と声をかけ、また私を見つめた

私の言葉を待ってるみたい

でも肝心の私は言葉が上手く出ない

ホントは言いたい気持ちと、それを誤魔化す気持ち

どっち言ったらいいか分かんないよ

『んと…』

『じゃ、じゃあ、もっかいキスして』

結局出たのはこの言葉

あぁ、もう…正直になれないなぁ

彼は首を傾げながら私を見つめる

まるで私が何を考えているのかを探るように

そして、小さく頷くと「お望み通りに」と言ってキスした

私の心は多分バレてる

「じゃあ行ってくるね」

『…行ってらっしゃい、！』

気づいたのにバイバイされた

やっぱお仕事の方が大切だよね、当たり前じゃん

普通の仕事ならまだしも、るぅとさんの仕事は特別だから…仕方ないよね



うつむき加減で部屋に戻ると、携帯から通知が鳴る

『…？』

パッと開くとさっき出ていったはずの彼からのLINE

るぅとお詫び買って帰るね

『んふふっ』

気にしてくれたんだ…

やっぱり彼は優しいな

そうだ、彼に指輪のお礼をしよう

久々のショッピングに行こう、！

彼にプレゼント。

どんな反応するかなぁ？w

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