若頭に愛されています【るぅと】

ー16ー ページ17

莉犬side


「ここは組長の部屋、藤の間。お庭に藤の花がたっくさん咲いてて綺麗なんだー！」

一つ一つの部屋を紹介していく

『へぇー！皆さんお花の名前なんですね！』

絶対に一言言ってくれて、Aちゃんいい子だなぁ

「うーん、それがそういう訳じゃないんだよねぇ」

『へ？』

「組長は藤の間、さとみくんは桃の間、るぅとくんは向日葵の間、俺は紅葉の間、ジェルくんが太陽の間、ころちゃんが水の間」

「ね？なんでもありでしょ？」

俺がそう言って笑うと、Aちゃんも笑う

『あははっ！ほんとですねっ』

…なんかるぅとくんが好きになったのも分かる

幼いのに安心する笑顔だよね

「そうだっ！俺のお気に入りスポットに連れていってあげる」

人差し指を立てて、ウインクする

どうよ！この、可愛いウインクは！

『莉犬さんっ…！』

あれ、惚れちゃったかなぁ〜？

ま、Aちゃんも落ちちゃうかぁ。俺の可愛さに

『ウインクお上手ですねっ…！羨ましいです！』

…え？

『私、出来なくて…』

むむむと顔をしかめて、半目になるAちゃん

まさか…それウインクしてんの！？

くそ、かわいい。

ちょちょちょ、俺がAちゃんにきゅんってさせる場面じゃん！？

なんか俺の心にずっきゅんって来たんだけど…

相手は年下だぞ？しかも経験少なそうな！

なんだこの魔性の女。

るぅとくん騙されてない、！？

心の中の俺が話しかける

「と、とりあえず、案内してあげる、」

Aちゃんは至って平気そうなのに、俺だけギクシャクしてしまった



『っわぁ！すごい…！』

「でしょ？」

Aちゃんを連れてきたのは、はなれの屋根の上

お屋敷が見渡せて、とても綺麗

ころちゃんの部屋の、蓮の池も、さとみくんの部屋の桃の木も、組長の部屋の藤も全部見える

「ここ知ってるの、多分俺だけだよ」

ニコッと笑うと、彼女は人差し指を口に当てて

『じゃあ、私と莉犬くんだけの秘密ですねっ』

そういった

あ…俺浄化されちゃうかも…

『そろそろ戻りましょ、遅いと皆に心配されちゃいます』

ふわっと笑う彼女

雰囲気がどことなく、るぅとくんに近い気がした



「あ、やっと見つけた」

『るぅとさんっ！』

「もぉ…探したんだから」

るぅとくんはAちゃんの頬を両手で包む

『何か私に用でもあったんですか？』

「ないけどさ…急に居なくなっちゃうと寂しいじゃん」

Aちゃんは嬉しそうに微笑む

幸せそう…


・

ー17ー→←ー15ー

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す