【ras】魔王に魅せられた天才ハッカー

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久しぶりの太陽に目が細くなる

痛い。目が痛い。



現代っ子を極めすぎて、買い物も人とのやり取りも仕事も全てネット上で済ませる私はアスファルトの上を歩くことがない

そして外出時はいつも



｢送った場所にお願いします｣

｢渋谷の方ですよね？｣

｢はいそれです｣




タクシーを手配し、それで移動
お金なら腐るほどある。物欲のない私がせめてもと経済を回すためにいちばん高いタクシーを呼んで、広い車内で1人タブレットを開きながら移動するのが常だ




情報誌を眺めながら時間を潰しす
スピードが落ちてきたのを感じタブレットから目を離し窓を見ると2度目のCR事務所が先に見えた



｢このあたりでいいです｣



昼間の時間帯でお客さんがいるけど、でも私の顔を知る人はこの中に誰一人として居ないだろうから堂々と正面にタクシーを停めた



モバイルを出して会計を待つ


……。


ガタガタと運転手が忙しなく機会を動かしていた

なに。まさか今どき電子マネーで払い方知らない訳？



｢あの？｣


｢すみません。機会の不調ですかね……。いつもは付いてくれるんですけど、なんか電源が入らなくて｣




一応、VIPのタクシーを呼んだはずだけど
私舐められてる？

いや別に舐められてもいいんだけど、電子マネーを使えないのは困る



私現金なんて1円も持ってないんだけど



｢どうしましょうか｣



私に聞かないで。私があなたとあなたの会社にそう聞きたい。


はぁ……。世の中、機械に置いてかれる大人は少なくないと知っているけれど




｢今回はこちらの不手際ですので、お支払いはなしという形で大丈夫です。すみません｣


｢……ちょっとここで待っててください｣




ドアを開けろ。と行動だけで示しスライドドアを開けさせる

タクシーが止まってからしばらくそのままだったからだろうか、その辺に並ぶお客さんたちが少なからず興味を持ってこちらを見ていた


出てきたのがオシャレもなんもしてない女ひとりなので、すぐに興味も失せたみたいだけど




電子マネーの画面から連絡アプリに変えて電話をかける
その人はすぐに電話に出てくれた




『もしもしー？どうかしたの？』



聞き取りやすい声質で、更には大人が子どもに話す時の対応と一緒でゆっくりと優しく話しかけられた


｢あのおじじさん。私今会社の前にいるんですけど｣



───お金貸してくれません？

終わり ログインすれば
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