過 保 護 の パパ【まふまふ】[完結]

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コンコンっと控えめなノックが聞こえた


きっと、天月さんだ




布団の上に無造作に体を放り投げていて、ぼーっとしていたけれど全然考えがまとまらないし、心も休まらない



お父さん。お母さん。




ふつふつと溢れる不安感に押しつぶされそうになる
じわっと視界が歪んできて、急いでシーツで顔を拭った





｢Aちゃーん？起きてる？｣





返事しなきゃいけないのに、無視とか居座ってる身でそんな失礼なことできないのに



口から出るのは嗚咽で、声を張ることも言葉を発することも出来ない




パパのばかぁ
あほ。けちんぼ。




私が素直じゃないのが悪いのも分かるけど、でも私にはもうパパしかいないのだ
パパに見捨てられたら私は終わりだ




パパのこと嫌いじゃないから……過保護なら今慰めに来てよ、ばかぁ




ｶﾞﾁｬｯと扉が開いた音がした
急いで顔を枕に押し付ける




｢ぁっ………えっと………。
スイーツ買ってきたら一緒に食べない？｣




天月さんの優しい声が余計私の心を掻き乱す
ボロボロと涙が止まらなくて、さっさと止めて顔を上げなくちゃいけないのに



必死に口を閉じても肩が強ばる




｢俺で良かったら、話なら聞くよ｣




自分の近くに人の気配がして、たぶん天月さんが腰を下ろしたのだろう

ふわりと爽やかな匂いが鼻を掠めた



すごく優しい匂いだ




｢………パパは今、何してるんですか｣



上ずらないようにゆっくり低く小さく、そう天月さんに聞いた

ホストの仕事で5日間も出張なんてあるのだろうか



｢どうしても……。どうしてもまふくんがいなくちゃいけない仕事を今してるよ｣




たっぷりの間を取ってそう言われた
天月さんも私にパパの仕事を教えてくれないのか


パパは秘密事ばっかりだ




｢でも、Aちゃんのことすごく心配してたよ。今まふくんはその場を離れられないから、ここにいないだけで、Aちゃんのそばにいたがってたよ｣



｢そんなの嘘です。｣




私なんて良くて聞き分けのない子供だ
好き好んで顔を見たいなんて思わないだろう




｢なんでそう思うの？｣




｢………パパは……。パパはすごい人なんです。私なんか背負ってても余りあるハイスペックさなんです。


料理も掃除も……勉強もできて。経済力もあるし顔もいいし｣




｢まふくんのこと好き？｣

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