まっくろな君 〜影浦雅人〜 Ver.2

episode75 ーはやくー ページ36

ー影浦視点ー


犬飼からのLINEが来たところで、どうせ大したことないだろうと思っていたが、ゾエの一言で俺の考えは覆される。

「ちょ、え？！犬飼くんだけじゃなくて、辻くんからも来てんだけどっ？！」

その内容はたった一言。

「来て下さい。」

これだけだ。

だが、普段、ゾエは辻とよくLINEをする仲でもねぇ。辻だって、人にドッキリだとか仕掛けるタイプじゃねぇ。

それに、未だに来ないあいつからの返事。

これらの答えがある場所は、二宮隊の隊室な気がした。

「カゲ、とりあえず行くだけ行ってみよう。」

辻からのLINEを見ながら、鋼がそう言う。
犬飼からだけのLINEだったらそんな事は1ミリも思わなかっただろうが、辻の一言が気になる。

「おう。」

俺たちは、二宮隊の隊室へ向かうことにした。

「ちょっ、カゲ歩くの速くない…？！ゾエさん、疲れちゃったよー」

「疲れるのがはやいな、北添は。」

俺は先頭を歩いていた。その少し斜め後ろには鋼。後ろの方に荒船・穂刈・ゾエがいる。

「おめーら、歩くのおっせーんだよっ！」

俺は、速く速くと急く足を止めることなく後ろの奴らに怒鳴る。

そして、ボーダーのバカ長い廊下を歩いて行くと、二宮隊の隊室が見えてきた。

その時の俺は最早ノックなんてする余裕もなく(いつもしてないが)、隊室のドアを勢いよく開けた。


そこに飛び込んできたのは、目を疑いたくなる光景だった。

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