まっくろな君 〜影浦雅人〜 Ver.2

episode69 ー隊室までー ページ29

ーA視点ー

「え…？」

あたしは、突然の二宮さんの発言に呆気に取られた。

「だから、俺はお前の笑った顔が好きだと言っているんだ。」

「え、あ、ありがとう…ございます…？」

…普通、こういう発言する時は照れるものだろうに、二宮さんはめちゃくちゃ普通の顔をしている。

てか、二宮さんってそういうこと言う人なんだ…

なんだか意外だな、と思った。
そして、またもや二宮さんは意外な一言を述べた。

「よかったら、一緒に訓練でもするか？」

なんと。No.1射手から訓練のお誘いを受けた。
これを断るあたしではなく、

「いいんですか？！是非、お願いします！」

思わず身を乗り出すと、二宮さんは ﾌｯ と短く笑い、

「じゃあ、うちの隊室のトレーニングルームを使うか。ついてこい。」

そう言うと二宮さんは、さっさと立ち上がって隊室に向かって歩き始める。
置いて行かれるとどこにあるのか、自分がどこにいるのかわからなくなるので、あたしは慌ててついて行った。

隊室に行くまでの間、色々な話をした。

あたしがボーダーに入ったきっかけ、
二宮さんの好物はジンジャーエールという事、
また、焼肉が好きだということも。
(焼肉に関しては、二宮さんが今度奢ってやると言ってくれた。)

てか、あたしがほとんど話しかけていたのだが。

「二宮さんは、公平くんに教わったんですか？」

「ああ。」

「へぇ〜、あたしも公平くんに教わってるんですよ！」

「そうなのか？」

二宮さんは、一瞬驚いたような顔をしていたが、すぐに無表情に戻った。
その表情の切り替わりが面白くて、あたしは思わず笑った。

二宮さんは「どこが面白かったんだ？」と言いたげな目をしてあたしを見つめていた。

しかし、それに答える前に二宮隊の隊室に着いた。

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