お揃い【htrnrn】 ページ42
お揃い【htrnrn】
私は先輩に恋している。
電車の方向は逆だけど会社から駅までの道は一緒。その間他愛のない話して気付けば3年、ふっと笑う先輩の顔が泣きなくなるほど好きになっていた。
「企画書かなり良かったよ。」
(いいたい、けど)
「…先輩のお陰です。」
今日も仕事のことを話す合間、私はごちゃごちゃの感情と戦闘中。全てを言ってしまいたいけど…弱虫だから何も言えない。断られるのが怖い。先輩の笑顔を見るたびドキドキ、そしてビクビクする。
今日も駅が見えてきた、もうすぐお別れの時間…いつもそれで焦る。
ダメかもしれないけど……やっぱり言いたい。
「せ、んぱい。」
「っ、なに？」
ドキドキで死にそうでつい先輩を呼んでしまった。しかも変にひっくり返った声で。
先輩は私の変な声に吃驚して「どしたの？」と尋ねてくれる。それに促されるまま胸を破裂させそうな思いを言いたい、弱虫なのは嫌なの、顔が熱くなっていく、目の奥がキューって痛くなる…今しかない言えって全身が叫んでいる……のに、
「あ。明日の会議で企画書使います、か？」
よわむし。
「…うん、使う。」
「見直しときます…。」
「そうだね、漏れがないか見とこうか。」
そんな当たり障りない、いつも通りの会話。
目の奥の痛みは引いて熱かった顔も冷めていく。結局私は私のまま…弱虫、と心の中で愚痴を呟けば溜め息が零れた。
人が多い駅の中へ入ればもう話すことは何もない、肩を落としながらパスケースを取り出しホームが別の先輩に「お疲れ様でした」と、
「Aちゃん、あのさ…」
「え？」
言うよりも先に先輩が私を呼んだ。
見上げれば顔をほんのり夕焼け色に染め、眉を眉間に寄せた険しい顔の先輩。
その表情、知っている。何かを言いたくて言いたくて自分を頑張れって応援している…弱虫な私がよくする表情。
「あ、した。俺、早く出社するから…。」
私と目を合わせずに弱々しい声でそう言って、先輩は髪をぐしゃぐしゃにかき混ぜ「じゃ、明日…」と早足気味に改札を通り抜けてしまった。
そんな、こと、されたら、
「きたい、させないでよ…。」
目の奥、キューって痛くなってきてパスケースを抱きしめた。
勘違いかも知れないのに私は、もしかしたら先輩は私のこと…って考えたら幸せから逃げているような気がして、そうさせている弱虫を、恨んだ。
別々の電車に乗りこんだ2つの胸の中は
((また告白出来なかった…))
お揃いの言葉でいっぱい。
2017/02/27
かの偉い人は言いました【osmn】→←要らない【shaorn】
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帽子かぶり(プロフ) - 雛菊さん» これからは今までとは少し違う感じの作品になりますが、最初の頃の気持ちを忘れずにやって行きますのでどうぞよろしくお願いします(*’ω’*)コメント、そして最後までのお付き合い本当にありがとうございました！ (2017年5月27日 17時) (
レス) id: 8c87802349 (このIDを非表示/違反報告)
帽子かぶり(プロフ) - 雛菊さん» 初めまして雛菊様、たくさんの嬉しい言葉本当にありがとうございます!誰かの心に響けばいいなとは思いながら書いていましたが、こうして雛菊様から言葉を貰うと感極まる物がありますね(笑)まさか有名な雛菊様からこんな嬉しい言葉を貰えるとは…書いて良かったです、 (2017年5月27日 17時) (レス) id: 8c87802349 (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - きっと貴方様の小説で国民は増殖したのだろうと確信しております。私もその一人ですから（笑）これからも細やかながら応援しております。素敵な作品を今までもこれからもありがとうございます。連投長文失礼致しました。 (2017年5月26日 17時) (レス) id: b42dc9bdfb (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - ラストのgr小説は最後を飾るのにぴったりの最高に美しい話でした……！あとがきを読んでいて引退するのかとヒヤヒヤしてしまいました。長編連載おめでとうございます。帽子かぶりさんの作品を読み続けられることが本当に嬉しいです。 (2017年5月26日 17時) (レス) id: b42dc9bdfb (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - 短編完結おめでとうございます。ハマりたての頃占ツクで帽子かぶりさんの小説を発見し文才発想器用さその全てに惹かれ、夢小説読者生活○年の中で初めて筆をとりました。それ故短編の完結は非常に感慨深いです。 (2017年5月26日 17時) (レス) id: b42dc9bdfb (このIDを非表示/違反報告)
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