だから、【htrnrn】 ページ21
だから、【htrnrn】
「飯食いに行くの？」
出来るだけ気配を消しこそこそ行動していたのに、先輩は椅子を回転させクルリこちらを向いて声をかけて来た。
少し雑な男らしい言葉の中に感じる「俺は？」という雰囲気。
確かに一緒にプロジェクトを進めている私たちに足りないのは阿吽の呼吸…だからって、ねぇ。
朝から残業中も一緒に行動しているし、お昼くらいは別々でもいいんじゃないかなー。
最早フロアにはお弁当組が何人かいるだけ、早くいかないと席なくなるし…一応後輩として先輩に聞いてみる。
「…先輩は出ないんですか？」
「Aちゃん次第、行くなら行く。」
財布が内ポケットにあることを確認した先輩が椅子から立ち上がり、私の傍へ来ては「どうすんの？」と尋ねてくる。
今の一大プロジェクト始動してからというもの…先輩はやたら私について回る。そりゃ営業周りのコンビとしては仲良くしてもらえるのは嬉しいけど、一緒すぎる。
朝のおはように始まり、残業で遅くなれば家の傍まで送られ、お昼も一緒…なんだこの先輩にまみれた生活は。しかも毎回奢ってもらっている、心が辛い。
たまには一人でランチしよーかなーなんて考えていたのに…また捕まってしまった…ここはやんわり断ってみるか。
「先輩、いつも私に合わせてもらってばかりだし…たまには先輩も好きなものを食べるべきですよ。」
「なんで？たかが昼飯じゃん、食べれれば何でもいいと思うんだけど。」
無理だ、この人ついてくる気満々だ。
くそー…内心毒づきながら「ハンバーガーでいいですかね？」と問えば軽く笑いながら先に歩き出す先輩。言っておくけど安い奴で！安い奴でお願いします！
毎回奢られる身としては本当に申し訳ないんだから…と背中に念を飛ばしていると、気づかれたのか先輩がまたクルリと私の方を向いた。やばっ、と焦っていると、
「俺、Aちゃんがご飯食べているときの顔好きなんだよね。」
「………ぅあえ？」
「何その声。」
軽やかに笑う先輩はあくまでもいつも通りの先輩、あ、聞き間違いですかね。
待て待て…それってどういうことなの？パニックを起こしてしまった脳内で頑張っても意味がない、それなのにそこにまた、
「だから、一緒にいるんだよ。」
爆弾を追加されたら、逃げ出したくなる私の気持ちを察してよ。
嫌でも赤くなってしまう顔にさらに嫌な気分。それなのに先輩は笑うだけ、嬉しそうに笑うだけ。
今日のランチはいつもより味がしないかも。
2016/06/10
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帽子かぶり(プロフ) - 雛菊さん» これからは今までとは少し違う感じの作品になりますが、最初の頃の気持ちを忘れずにやって行きますのでどうぞよろしくお願いします(*’ω’*)コメント、そして最後までのお付き合い本当にありがとうございました！ (2017年5月27日 17時) (
レス) id: 8c87802349 (このIDを非表示/違反報告)
帽子かぶり(プロフ) - 雛菊さん» 初めまして雛菊様、たくさんの嬉しい言葉本当にありがとうございます!誰かの心に響けばいいなとは思いながら書いていましたが、こうして雛菊様から言葉を貰うと感極まる物がありますね(笑)まさか有名な雛菊様からこんな嬉しい言葉を貰えるとは…書いて良かったです、 (2017年5月27日 17時) (レス) id: 8c87802349 (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - きっと貴方様の小説で国民は増殖したのだろうと確信しております。私もその一人ですから（笑）これからも細やかながら応援しております。素敵な作品を今までもこれからもありがとうございます。連投長文失礼致しました。 (2017年5月26日 17時) (レス) id: b42dc9bdfb (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - ラストのgr小説は最後を飾るのにぴったりの最高に美しい話でした……！あとがきを読んでいて引退するのかとヒヤヒヤしてしまいました。長編連載おめでとうございます。帽子かぶりさんの作品を読み続けられることが本当に嬉しいです。 (2017年5月26日 17時) (レス) id: b42dc9bdfb (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - 短編完結おめでとうございます。ハマりたての頃占ツクで帽子かぶりさんの小説を発見し文才発想器用さその全てに惹かれ、夢小説読者生活○年の中で初めて筆をとりました。それ故短編の完結は非常に感慨深いです。 (2017年5月26日 17時) (レス) id: b42dc9bdfb (このIDを非表示/違反報告)
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