Ep10 ページ10
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とある昼休み。ご飯も食べ終わって、残りの休み時間を持て余していたので適当に校舎をぶらつく事にした。転校してもう半月は過ぎたのだが、総北高校は広いのでまだまだ行ったことのない教室なんかがある。
あ、ここに図書室あるんだ。今度行ってみよう。この教室なんだろ‥教材室？物置みたいな部屋だ‥。と色々見て回っていると、1年生の教室を示す吊り看板が目に入る。
教室の前を通る時にちらりと教室内を見渡すと、あの元気な赤い頭が目に飛び込んできた。章吉くんだ。目立っているのですぐに分かった。坂道くんと今泉くんとご飯を食べているようだった。
「A先輩？」
声をかけられたので振り返ると、幹ちゃんが立っていた。こんにちは、こんなとこで何してるんですか？と笑顔で問いかけてくる。
幹ちゃんは1年生マネで、純粋で、とても可愛い後輩だ。
「今ね、校舎探検してるの。幹ちゃんは？」
幹「探検ですか〜！新しい学校ってワクワクしますよね。私は今から自転車部の部室にこれを届けるんです。」
そう言いながら幹ちゃんはにこりと笑って、手に持っていた紙袋を見せてくれた。中に入っていたのはタオルとドリンクのセットだった。
幹「9月に入ってから、杉元くんが昼休みに自主練してるんです。」
幹ちゃんに同行し、部室の戸をトントンと叩いて開けると、ローラーが回るシャアアア‥という音が響いていた。照文くんは私がいる事に少し驚いているようだった。
「照文くんお疲れ様。すごいね毎日昼休みに練習してるなんて」
杉元「いやぁ‥僕は今泉にアドバイスされた事をやってるだけで‥」
そう言いながらも、褒められて彼は満足そうで、とても得意げだった。
幹「じゃあ杉元くん、ごめん。少しだけ掃除させてね」
杉元「ああ、構わないよ。僕はインターバルを取っているから。」
照文くんは部室の外へ涼みに行き、幹ちゃんはロッカーからほうきとちりとりを取り出した。部室内を軽く掃いていく。「昼休みに掃除してるの？」と問うと、幹ちゃんは「皆さんが少しでも気持ちよく部活が始められるように。」と笑っていた。
この子は本当に、自転車と、自転車に乗る人が好きなんだろうなぁ‥。
とてもほっこりした気持ちになって、私はちりとりを手に取り「手伝うよ！」と言うと幹ちゃんと一緒に部室の清掃に励んだ。
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作者名：ハレルヤ | 作成日時：2020年1月1日 23時
