道具〔Killer〕 (ページ4)

今日:12 hit、昨日:0 hit、合計:3,615 hit

+ ページ4

゜

次の日の朝、また彼女に会った。

僕は逃げたかったけど、やはり昨日言った言葉が忘れられなかった。

好奇心には勝てない。

ｷﾗ「…ねぇ、君…えっと、」

A『Aと言います。』

ｷﾗ「…A…」

…その見た目とあってていい名前だなぁ。

じゃなくて。今は違うこと。

ｷﾗ「…聞きたいことがあるんだけど。

君…Aってさ、いじめられてんの？」

A『…』

にこにこしていた顔が、急に笑わなくなった。

やっぱり、そうだった。

昨日のあの異様な匂いはまるで牛乳の様だった。

彼女はまだ中学生らしい。給食が出るはずだ。

これは僕の前の姿の、Ｐルートに行ったオリジナルからの情報。

ｷﾗ「…もしかしてだけどさ、君のその性格って…」

A『この前1人で病院に行った時、障害を患っていると判断されたの。

…なんか、幻覚？を見るんだって。

自分が"都合のいいようになる"、幻覚。』

…1人？幻覚？

自分に都合のいいようになる幻覚…？

…僕のグループにも、同じような奴がいるから大体わかる。

誰かに、何回も何日も同じことをされるんだ。

それは、自分を屋上の端にまで追い詰めるほどの事で。

彼女はそのせいで患ってしまったみたいだ。

…でも、そうしたら昨日のことは、

彼女にとって"都合のいいもの"になる。

そう考えると、僕の殺すことしか頭にない頭でも。

"悲しい"という言葉が出てきた。

こんなことは初めてである。

ｷﾗ「…昨日は、ごめん。…ごめんね。」

殺そうと思っていた人が

僕と同じような目にあっているのに

なぜ僕は、彼女にいじめの主犯と同じことをしたのだろう。

A『ついこの前まで、

私を殺そうとしてきたのに。

＿＿＿＿＿＿変な人。』

くすくすとわらうこの子を見て

僕はまた恐ろしいと思った。

笑える雰囲気では無いのに。

何故貴方はその美しい笑顔で居られるのか、と。