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(寝れない…)
時刻は午前3時ちょっと過ぎ。
ディレクターに30分ほどのお叱りを受けて部屋に戻ってきたAは布団の中で悶々としていた。
数時間前あんなに疲れて眠りについたのに、変な風に起こされてしまったため寝付けない。
と言うより、Aが寝付けない理由は他にあった。
ゴロゴローー…ドドンッ!
「、!(最悪…)」
いつの間にか降り出していた雨に、窓を揺らすほどの轟音。
沖縄の天気は変わりやすいとは言うけれどここまでのものも珍しいだろう、昼はあんなに晴れていたのに気付けば外は雷雨の嵐だった。
(、なんで今日に限って…!)
Aは雷が大の苦手である。
高所か雷かと言われてもどちらも選べないくらい。
小さい頃から嵐の日でも家に一人でいる事が多かったAは、部屋で一人ぼっちの時に雷の光や音を聞くとどうしようもなく不安で パニックを起こしそうな気分になるのだ。
だから、雷の降る夜は絶対に一人にならないようにしていた。
亜嵐やAKIRAや、たまにATSUSHIなどを家に呼び出して嵐が止むまで一緒に居てもらうのが通例だったのだけれど。
(遠い…)
ここは東京より飛行機で3時間の南の国。
雷なったからちょっと助けに来てくんない?と言われて駆け付けられるような距離ではない。
(亜嵐、起きてるかなぁ)
電話でもしてせめて誰かの声が聞こえれば、少しはこの不安も和らぐかもしれない。
しかし、今は夜中の3時。いくら日夜関係ない芸能人といえど仕事さえなければもうすでに寝ている時間…Aは考えた。
(LINE、送るだけ送ってみようかな)
返信が来たら電話しよう、そうしよう。
“今なにしてる?”
短く、特に当たり障りない内容のものを送ってそのスマホをギュッと握りしめて縮こまった。
数分後…
「……もうむりだ!」
うん、絶対むり、既読付かんし、亜嵐絶対寝てるし、むりむりむり!
雷止まんし!!
布団の中で唐突に何かを思い立ったAは、そのままスリッパを履き替えることもなくバタバタと部屋を飛び出た。
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作者名:とまと野郎 | 作成日時:2014年12月25日 15時