君をさがしてた。～pastel days～ (ページ32)

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-ver.veil green- 11 ページ32

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「別につけてませんけど」

しかし、顔にイライラの表情は出ることなくなんか臭いますか？と、自分の身体をクンクンと嗅ぎはじめた。

「…あ、多分これお香の匂いですよ」

哲也「お香なんてやってたっけ？」

「この前メイクさんに貰って、試しに焚いてみたらいい匂いだったんでちょっとだけやってます」

哲也「へーだからか。確かにいい匂いだね」

Aから仄かに香ってくるのは、彼女の服に付いたお香の匂いだったらしい。
腕の辺りに鼻を近づけて今一度その香りを堪能する。

「香水、か…」

Aは一瞬だけ考える素振りを見せると、パッと俺を見上げて

「行きましょう哲也さん」

哲也「え？」

「亜嵐へのプレゼント、決まったかもっ」

そう言って足早に歩き出した。

＊

Aの後に続き、着いたのはハイブランドが揃う香水ショップ。

「前に亜嵐と買い物してた時、「俺これ好きかも～」って言ってたやつがあって…」

哲也「へえぇ」

「どれだったっけな…」

テスターを片っ端から手に取り鼻に近づけて嗅いでいるA。

哲也「ちょ、ちょっと待って、それあんまやると鼻おかしくなるから…すいませーん」

慌ててAの腕を掴みその動作を止めさせると、店員さん呼び止めた。

哲也「テスト用の紙ありますか？」

「あ、はい、少々お待ちください」

しばらくして持ってきた数枚の紙のテスターをAに握らせ

哲也「これにワンプッシュして、パタパタして嗅ぎなさい」

「あい。」

そう言ってやるとAは短く返事をして、そっからは物凄い集中力で匂いを嗅ぎ分け始めた。

「これかも…」

しばらくしてAが手に取ったのは、青い四角の瓶に大きく 1 と書かれた香水。

哲也「これラルフローレンじゃん」

ラルフローレン “ザ・ビッグポニーコレクション1”

テスターを持つAの腕ごと自分の鼻に近づけて匂いを嗅ぐと、柑橘系の爽やかな匂いがして女性でも気兼ねなく付けられそうな…中性的な亜嵐にぴったりだと思った。

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