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哲也「あ、このジャケットいいな」
ずっとAの側にいて呟きを聞いているのも飽きてしまったので、俺は俺で店内を物色中。
「哲也さん、次のお店…
あ、それ格好いいですね」
哲也「そう?やっぱ?」
「でもなんか、んー、…ちょっと待っててください」
濃紺のシンプルで上質なジャケットを羽織った俺を見て、どこかへ行ってしまったA。
しばらくして戻ってきた彼女の手には ハットとシルバーブレス、そしてベージュのパンツと明度差をつけた真っ黒のベルトが握られていて。
「これ付けて、」
哲也「お、おう」
「ブレスレット見えるように腕まくって…あ、これは外して。」
哲也「それAから貰ったやつだから無くさないでよ」
「…じゃあ私がつけとく。あとこれシャツ上げらんない?ベルト…ん、入れたら変かな?パンツ変える?でも上下暗めは哲也さんっぽくないし…レザーならいけるかな…したらベルトは白がいっか……むー、」
本来の目的を忘れて俺のコーディネートに夢中になっているA。身体中ベタベタ触られても不思議と悪い気はしない。
そして。
「うん、できた」
哲也「満足した?笑」
「した」
ちょっと離れたところから引きで俺の全身を見て満足そうに頷いたA。
流石彼女のセンスと言ったところだろう、普段自分はやらないようなコーディネートではあるが、正直かなりキマってる。
哲也「じゃあこれ全部買いで」
「え、買うの?値段見てないですよ」
哲也「いいよ大丈夫。…すいませんこれでお願いします」
財布からカードを出して店員さんに手渡すと、一度商品を脱ぐために試着室へと引っ込んだ(結局ボトムスまで変えられた…)
*
「あーらーんー…」
哲也「呼んでも流石にここまでは来ないよ?」
「来たらドラえもんですよ」
ドラえもんって笑
じゃあAはのび太くんって事でいいの?
様々なショップを回り、未だにプレゼントを決めあぐねているA。
顎に手を添えて、んーと唸っている。
「……」
哲也「…ずっと気になってたんだけどさ」
「なんですか」
哲也「A、今日香水つけてるの?」
気分を変えようと朝から気になっていた事を振ってみたんだけど。
「…今ですか…?」
あ、やばい、イラっとしたかな?
心なしか声が低くなったような気がする。
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作者名:とまと野郎 | 作成日時:2014年12月6日 12時