-ver.veil green- 1 ページ22
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窓を開ければセミの鳴き声が聞こえる7月半ばのある日、ツアー中としては珍しく1日オフとなり、昨晩から昼過ぎまで寝てやろうと決め込んで 布団の中に潜り込んでいた男が一人。
pipipipiーーー!
そんな彼のベッドサイドで 突然けたたましくアラーム音が鳴り響いた。
pastel days -ver.veil green-
「、…ぅ、ん(…誰だよこんな時間に…)」
掛け布団をすっぽり被っても頭に響いてくる、目覚ましのそれとは違う音に、ベッドに横たわる彼…TETSUYAは少しだけイラついた。
朝っぱらから無遠慮にかけてくる電話など無視してやる。と、しばらく取らないでいたが…
pipipipiーーー
哲也「……(止まらないし…)」
10コール鳴らして出なかったら諦めろよ、と誰だかわからぬ電話の相手に悪態をつく。
そしてそれと同時に 留守電の設定をしていなかった自分を恨んだ。
pipi…ピッ
哲也「…はい、」
先に根比べに負けたのはTETSUYAの方だった。
鳴り止まないそれに徐々に目が冴えてしまった彼は、ついに掛け布団から手を伸ばすと ディスプレーに映った名前を確認することなく通話をタップして耳に当てる。
『哲也さん、おはようございます』
哲也「んー、
…A?」
『…もしかして寝てましたか?』
哲也「、どうしたの、こんな時間に」
『こんな時間って、もう8時ですよ』
哲也「うー…」
まだ8時ですよ。
1日休みの日ならまだ寝ていたい時間です。
そう思って小さく唸るTETSUYAだったが、その次に続くAの言葉に一気に頭が覚醒した。
『実は今 哲也さんの家の前にいるんですけど…』
哲也「っ、!」
バタバタバタ ドタン! ーーガチャッ!
「…おはようございます。」
哲也「っ、なんで?!」
物凄い勢いでベッドから飛び降り玄関を開けると、そこには本当にAの姿があって。
いつもと変わらない挨拶をしてきた彼女への第一声がこれだった。
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作者名:とまと野郎 | 作成日時:2014年12月6日 12時