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-ver.aqua marine- 11 ページ11

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「……」

隆二「……」




白い水しぶきを上げて沖へ泳いでいく二人を、ボーッと眺めているA。
そんな彼女を 寝っ転がったままの隆二が見つめている。



ぐぅぅ…




「……、」




突然鳴ったお腹を慌てて抑えるA。そしてそろりと隆二に視線を向けた。
そんな彼女の様子に隆二は思わず吹き出し、お腹の上にあった砂が揺れる。




隆二「ははっ、お腹空いた?」

「すいた…」

隆二「なんかメシ食いに行くか?」

「え、でも…二人が戻ってきてからの方が…」


隆二「いいって。2人で楽しませとけ笑 俺もお腹空いたし、行くぞー」




砂を押しのけるように立ち上がると、身体についてきた残りを手で軽く払う。そしてしゃがみ込んだままのAにも立つように促し




隆二「直己さーん、俺らご飯してきますけど なんか買ってきます?」

直己「フランクフルトー。2人ともサングラスしてけよー」

隆二「はーい。A、臣のやつしてっちゃえ」

「あい。パーカー着てった方がいいですか?」

隆二「そうね。」




俺も着てこー と、健二郎が着ていたパーカーを手にとり肩に羽織る隆二。




隆二「じゃあ行ってきまーす」

直己「A変な人に付いてっちゃだめよー」

「はーい。(…お母さんみたい)」




チェアに寝っ転がりこちらを見ることなく手を振る直己に返事をして、遠泳している広臣と健二郎を置き去りにして 海の家へと歩みを進めた。





















一般客のいるビーチに着くと、隆二にパーカーのフードを被せられ 何事かと彼を見上げる。




隆二「一応な」




まじまじと見られれば一瞬で自分たちが三代目であることはバレてしまうだろうが、それでも対策しとくに越したことはない。




「人がいっぱい…」

隆二「今日晴れてるからねー、逸れんなよ?」

「はーい」




初めて見るオンシーズンのビーチの様子に、Aは興味津々で視線を巡らせ 隆二の言葉に空返事を返した。




隆二「……ほら、掴んどけ」

「あい。」




Aの手を取って自分のパーカーの腰辺りを掴ませる。これでAが意図的に手を離さない限り逸れることはないだろう。




隆二(ったく、子供かよ)




キョロキョロしながら覚束(おぼつか)ない足取りで自分の後を付いてくるAに 隆二は ふーっとため息をついた。


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作者名:とまと野郎 | 作成日時:2014年12月6日 12時

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