【30】繋がり ページ34
恥ずかしくて茶髪の顔を見れなかった
いや、見てしまったら理由もなく泣いてしまう気がしたから見ることができなかったと言える
優しく温かい手を感じていると無機質な音が鳴る
私の携帯電話だった
前にも似たようなことがあったなとおもいつつ手に取ってみると(店長)と表示されていた
茶髪の顔を見ると「出ていいよ」と笑顔で言われたので通話ボタンを押した
"あ、おはようぅ"
外にいるのか電話越しに騒がしさが伝わってきた
『"おはよう"って言ってももうお昼だけどね』
"今、どこ?"
『ん、?今どことは?』
"俺今、師団披露に来てんだよね"
『はぁ!?聞いてないよ!』
思わず大きな声が出てしまった
"そりゃ言ってないもんな"
『先に言ってよ!』
電話からガハハと笑い声が聞こえてきて思わずため息をついた
団長がじきに帰ってくるはずなので回収はすぐに出来そうだ
"今放送室にいるよ
門を通って真っ直ぐ進んだら見えると思う"
ほぉ〜と腑抜けた声を出して"じゃあ向かってみるわ"と一言言って一方的に電話を切られてしまった
少々イラつきながらもここに迷わず来れるのかと心配になったので外を見ていると
「…なぁんだ」
茶髪が小さな声で何かを言ったので後ろを振り向くと何故か嬉しいそうに笑いながら「なんでもないよ」と言ってきた
普段もよく笑っているが本当に心底嬉しそうに見えた
改めて外を眺めていると見慣れた姿が見えた
向かうも気づいたのか手を振ってきたので振り返す
やがて、土台まで上がってきた
「よぉ〜元気だったかぁ〜」
『来るなら一言言ってよ!』
「サプライズって奴だよ嬉しかっただろ?」
嬉しくないと言ったら嘘になるため考えた末に目を逸らした
店長は目を細めて私の頭を乱暴にガシガシ撫でてきた
さっきの茶髪とは全く対照的でなんの配慮のないものだった
それでもそれが店長の愛し方なんだろう
そこで私は気がついた
私が"愛されている"と感じるのは何でだろう
顔を見上げるとニカッと普段どうり笑う店長を見て相手が自分が好きだなんて思えるのだろう
つい先日まで私は死んだ娘さん代わりだなんて思っていたのに、愛されているだなんて
「やっぱり、嬉しかっただろ」
悪戯が成功した子どものように得意げに笑う
最後にポンポンと頭を軽く叩いて満足げにしている店長
思っていた以上に店長のことが大好きと気付かされた日だった
…
久しぶりの更新で申し訳ないです…
こんな作品でも待ってる方がいたら幸いです!
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pastayummy(プロフ) - ハクさん» ありがとうございますッッ!! (8月21日 1時) (レス) id: 2db1b2aed4 (このIDを非表示/違反報告)
pastayummy(プロフ) - 多界隈オタクさん» 返信遅れてすいません…ありがとうございます(*´꒳`*) (8月21日 1時) (レス) id: 2db1b2aed4 (このIDを非表示/違反報告)
pastayummy(プロフ) - 黒川かぐやさん» 返信遅れてすいません…そう言ってもらえると嬉しいです、 (8月21日 1時) (レス) id: 2db1b2aed4 (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - 好きッッッッ!!!! (7月26日 3時) (レス) @page33 id: 11bc978136 (このIDを非表示/違反報告)
多界隈オタク - ン〜( 'ω')すき (7月18日 17時) (レス) @page33 id: 307ce0f7f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pastayummy | 作成日時:2022年10月14日 22時