神のお気に召されるように ページ43
翌日の午後、自宅に戻る時に突然思い付いて逆方面への電車に乗った。
久しぶりに聖嵐に行ってみようかな、って。
別に中に入るつもりはなくて、みんなの想い出を連れてただあの辺を散歩がてら訪れてみようって。
翌日もいいお天気で、爽やかな秋晴れ。
明るい陽射しの中を、私はかつての学び舎に向かって坂を上る。
・・・・・・・・キツイ。
やばい。この坂、こんなにキツかったっけ？？？
最後はぜぇぜぇ言いながら20分近くかかって階段や坂道を上った。
最後の階段を上りきって、目の前に現れた学校を眺める。
近道から来ると、正門側でなく校庭の方に出てくる。
校庭には、日曜日だけど部活で出て来てる生徒たちの声やボールを打つ音が響いてて。
・・・・・・・・ああ、懐かしい。
自分でも驚くほど感慨深かった。
校庭を眺めながら塀沿いに歩いて、正門側へと向かう。
正門の前で立ち止まって、校舎を見上げる。
古いレンガ作りの校舎は、昔のまんまだった。
右手の図書室などがある新校舎は、あの頃は建て直したばかりでピカピカだったけど、そこから15年の経つとそれなりに少し年季が入り始めてる。
校門左手にある“ルルドの岩屋”は昔どおり。そこに飾られてる小さな白いマリア像も以前と同じまま。
校舎の奥から、綺麗な歌声が耳をかすめる。
・・・・・・・合唱部かな？讃美歌が聴こえる。
『うつし世をば 離れて 天がける日 来たらば・・・・・・』
あー、・・・・・これ歌ったことあるなぁ。
私は聴こえてくる歌詞を追いながら口ずさんでみる。
「・・・・・いーよーよちーかくー みーもーとにゆきー 主ーのみかーおをー あーおぎ見ん。」
驚いた。意外と覚えてるもんだわ(笑)
その時だった。
「────赤名・・・・・？」
この声。
私はゆっくりと声の方を見る。
「・・・・・ビックリした。久しぶりだなぁ。・・・・てか、おまえ変わってないな(笑)」
初秋の風に吹かれて、笑ってる先生。
「あ、そうだ。オレ、おまえの編集した本読んだよ？」
私は、その瞬間から世界が満たされてゆくのを見た。
霞んだ水彩色だった記憶が、フルカラーで彩り直され始める。
先生の声と、先生がそこにいることで。
イロトリドリ ノ セカイ・完
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羊羽(プロフ) - ebi信号さん» "フルカラー"に反応してくれてあざます(笑) それは明らかにあちらの曲のラッキー副作用です。 (2020年8月4日 18時) (
レス) id: 0745f90403 (このIDを非表示/違反報告)
羊羽(プロフ) - ebi信号さん» にのみぃ先生だけはやけにリアルに話が脳内に浮かんだんですよねー（おい）いやまぁ、曲に沿って書いたからね？別に本人がどうとかではないですよ？（牽制）映像化したら果てしなく素敵にクズ男演じてくれそうだなぁと（弁解） (2020年8月4日 18時) (レス) id: 0745f90403 (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - 最後のフルカラーって言葉で、一瞬にして世界がクリアに鮮やかになるから不思議。(笑) (2020年8月4日 14時) (レス) id: 5da3552e51 (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - ただ最後に名前呼んだのは、引き留めたかったのは『和花』の方だったかな、と。 どっちにしても人間らしくて、彼らしい。 てか、なんだよ、クズ男だけど、最&低のクズ男ではなかったじゃん。結局未婚って… 一途で周りが見えないｻｲｺﾊﾟｽより万倍マシ。 (2020年8月4日 14時) (レス) id: 5da3552e51 (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - にのみぃ先生のお話。突然沸いた助手席のラッキーを誕生日だったらとか、頭と口が直結してる割に帰りたくないって言葉が言えないピュアな和花。『二人だけの秘密』特別感に幸せでしかない事なのに、アチラ都合の洗脳でしかなかった訳だ… うーん、最&低のクズ男だわーw (2020年8月4日 14時) (レス) id: 5da3552e51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羊羽
| 作成日時：2020年4月5日 20時
