#53 ページ19
ちょうどその時、船内を抜けてデッキに出た。
「―――――わぁ・・・・！」
「―――――おー！」
快晴の空の下の海に浮かぶその空間は陽射しを燦々と浴びていて、思わず２人とも声を上げる。
平日、しかも月曜日の乗船だからか、乗船客は少ない。
さっき記念写真撮ってた外国人観光客の数人と、悠々自適っぽい奥サマ方の小さな団体が数組いるといった程度。
オレとAは、デッキの一番後方の柵に寄りかかって海を眺める。
向こうにレインボーブリッジが見える。
海風にAの髪がなびく。
「・・・・・翔ちゃんは、」
Aが口を開いた。
「あの時のこと覚えてて、そんでココって言ったの？」
そう尋ねるAの顔は、「ホントにそんなこと覚えてたの？」って言ってるみたいで、思わず笑った。
「そうだよ。」
え。
って顔のAに言葉を続ける。
「オレ、Aと違って記憶力いーし(笑)」
Aは眩しそうに、一瞬目を瞑った。
「・・・・・そんで、話戻るけど。」
オレが目線を海に向けると、Aも合わせて海を見る。
「カズか雅紀が、オレが『アメリカ転勤』で『結婚する』っつったってこと？」
今までの話繋ぎ合わせると、そーいうことだよな？
なんかよく分かんねーけど、Aがあの２人に騙されたってことか？
Aは記憶を辿るような、眉をしかめた顔をしてしばらく考えてる。
考えてから出した言葉は
「・・・・・いや、そうは言ってない・・かも・・・。」
んあ？
「え？どゆこと？」
「・・・・・それぞれが言った情報が、私の中でそう結びついた・・・というか・・・・」
Aは目線を絶対合わせずに、ゴニョゴニョと言った後。
「・・・・・私の勝手な思い違いです・・・・・。」
小さな声でそう言うと、Aは柵に突っ伏した。
気付くと船は滑り出していて、大桟橋が徐々に遠くなり、代わりにレインボーブリッジが近付いてくる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 441人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
羊羽(プロフ) - 柚さん» 柚さん、こんにちは！気に入っていただけてすごく嬉しいです。今書いてるのはコチラとはかなり毛色が違いますので、楽しんでいただけることを切に願うばかりです(^^;)ダメだったら、またコチラに戻ってきてくださいw (2021年7月8日 13時) (
レス) id: 3e081a5e66 (このIDを非表示/違反報告)
柚(プロフ) - こんばんは。好きで好きでもう5回以上読み返している気がします。また今書かれているのも読ませて頂く予定です♪楽しみです。 (2021年7月7日 22時) (レス) id: b83af50be8 (このIDを非表示/違反報告)
羊羽(プロフ) - ともさん» こちらも読んでいただきましてｱﾘｶﾞﾄｳｺﾞｻﾞｲﾏｽ！最後の話はホント蛇足ですけど…。まぁ仲がいいｸﾞﾙｰﾌﾟの中でこんな形でくっ付いたら、そりゃ弄り倒しますよね。私でもずっと弄り続ける（笑）楽しんでもらえてよかった！ (2020年1月28日 16時) (レス) id: 9e1708fadb (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 再びこんにちは。雅紀くんと和也くんのウソのおかげ？で…やーっと結ばれた2人に茶化しているけれど…自分の事のように喜んでいる彼らの楽しそうな行動が心温まりました。期待を裏切らない2人の行動がめちゃくちゃ楽しかったです。 (2020年1月28日 11時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
羊羽(プロフ) - ebi信号さん» ただただ出来心で書いただけのくっだらないｵﾊﾅｼですけど…くっだらないからこそ何も考えずに読めるのかもね！楽しんでもらえたの本当に嬉しい。よかった。たかが妄想、されど妄想☆侮れない（笑） (2020年1月18日 15時) (レス) id: 9e1708fadb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：羊羽
| 作成日時：2019年12月28日 8時
