#50 さよならが聞きたいんじゃなくて ページ14
『杉田〜杉田〜、JR根岸線、シーサイドラインにお乗換えのお客様は・・・・』
電車が駅に着いた。
その瞬間、
「すみません、降ります！通して！！」
私を抱えながら、翔ちゃんは乗客をかき分けて降車した。
「A、あそこの椅子に座ろう。」
ホーム端っこのベンチに連れて行かれて、座らされた。
私はずっと口押さえたまま、下を向いてた。
「大丈夫か？ポカリか何か、買ってこようか？」
翔ちゃんは相変わらず、ずっと心配したまま。
私は首を振る。
「少し休んだら、楽になるかなぁ・・・・」
私の背中さすりながら、心配そうに私を覗き込む。
もう限界だ。
涙が溢れてきた。
昨日、声をあげてでももっとギャン泣きしておくべきだった。
中途半端だったんだ、アレじゃ。泣いて涙枯らしておくべきだった。
その一方で
『最後に翔ちゃんを困らせてしまえ。』
って考えが頭の中で囁いた。
どうせもう、あの女の子と結婚して、アメリカ行っちゃうんだ。
最後に想いブチまけて、ほんのちょっとでも私に対して良心の呵責浮かべさせちゃえ。
・・・・・違う。
なんで翔ちゃんが良心の呵責感じる必要があるんだよ。
悪いのは。
バカなのは。
大事なこと気付かず、覚えてなくて、分かってなかった自分だよ。
気持ちがしっちゃかめっちゃか。収拾がつかない脳内。
胸のあたりも吐き気と嗚咽の初動とで、やはりしっちゃかめっちゃか。
「A、ここでちょっと待ってて。飲み物買っ・・・・」
「・・・・・翔ちゃん、行かないで。」
私の手は、翔ちゃんのスーツのジャケットを掴んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 376人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
羊羽(プロフ) - 柚さん» 柚さん！ﾆｭｰｽを見てのｺﾒﾝﾄありがとうございます(≧∀≦)そうなんですよね、あの辺一帯取り壊しになっちゃって…Zepp Tokyo…(泣) お話の中人たちは新しい場所での思い出を作っていることでしょう（知らんけど）読み返してもらえてるとか嬉しすぎます。 (2022年4月6日 7時) (
レス) id: e75b66a872 (このIDを非表示/違反報告)
柚(プロフ) - こんばんは。先日ヴィーナスフォト？が取り壊されたニュースを見て，最初に思い浮かんだのがこのお話でした。地方在住で建物を全く知らないのに何故か寂しいです(笑)。それでまた読み返しています(^^)何回読んでも面白いです。素敵なお話をありがとうございます。 (2022年4月3日 21時) (レス) @page29 id: b83af50be8 (このIDを非表示/違反報告)
羊羽(プロフ) - たまりんさん» たまりんさん、はじめまして！読んでいただきましてｱﾘｶﾞﾄｳｺﾞｻﾞｲﾏｽ♪こんな幼馴染みに囲まれるとか、前世でどんだけ徳を積んだんでしょうね。この主人公（笑）楽しんでいただけたなら書き手として幸せです。他も楽しんでいただけますように。 (2020年2月3日 10時) (レス) id: 9e1708fadb (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - はじめまして。とっても素敵なお話しでした。翔ちゃんsideのお話も読ませて頂きました。2つとも読み終えて、お互いの好きって気持ちに気がついた瞬間が一緒だった事に、あー、結ばれて良かったなと思いました。他の作品も、楽しみです。 (2020年2月3日 9時) (レス) id: 73cb3c7af7 (このIDを非表示/違反報告)
羊羽(プロフ) - ともさん» ともさん、はじめまして！お立ち寄りいただきｱﾘｶﾞﾄｳｺﾞｻﾞｲﾏｽ。楽しんでもらえたなら嬉しいです♪どうしてもmouthとmouseを引っ掛けたかったもので、こういう話になりました（笑） (2020年1月28日 16時) (レス) id: 9e1708fadb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：羊羽
| 作成日時：2019年12月14日 10時
