アオゾラペダル #4 ページ8
数時間の収録が終了した。
結局、ずっとぼんやり彼を見続けていただけなので、内容はあんまり覚えてない。
今は観客に向かってお礼の挨拶をしてる。
ホントに、いっぱしの大人だ。と、また妙な感心をしてしまう。
彼がちょこんと頭を下げて、起き上がった時。
(・・・・・こっち見てる？ )
一瞬、眼鏡のレンズを通り越して視線が合った気がしたから。
私は、反射的に微笑んだ。
『元気そうだね。よかった。』
そう告げるつもりで。
そんな自分に驚いた。
・・・・・私もそれなりに成長していたみたいだ。
ほんの１、２秒の話で、目が合ったと思うのもおそらく気のせいだろうけどね。
彼らはそのままハケて、私たちは退場順番を待っていた。
「どーだった？」
友人が小さな声で囁く。
答えようがなくて、苦笑いを浮かべた。
一歩一歩、いろいろ考えながら進んできたんだろうな、って思ったよ。
見違えるくらい大人の顔になってて驚いたよ。
私があの時採った道は間違いじゃなかったみたい、って思ったよ。
・・・・・・うん。あれでよかったんだ。
彼の立場と私の立場では、何を塗っても思い描く色は出せないの分かってたから。
どの色を塗っても、彼の色味になっていくのが怖かったから。
これ以上色を重ねて、悲しい色になるのは避けたかったから。
せめて、優しい色のまま彼の明日に繋いでいきたかったから。
ちょっとだけ気になったのが、休憩から戻ってきた彼が少し先の方を通り過ぎて行った時の、彼を纏っていたタバコの匂い。
・・・・・この位置からでも感じるって、どれだけ吸ってんの？ って。
最後に「タバコはほどほどにね」 っていうのも言っておくべきだったと少し後悔(苦笑)
あの日からのキミは、どんな色を塗り重ねてきたのんだろう。
願う通りに描けているのかな。
キミの思い描く通りの色で、思い描く通りの絵が出来ていますように。
そう願ってる。
ずっと、今も。
アオゾラペダル・完
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羊羽(プロフ) - のりさん» ｵﾊﾖｳｺﾞｻﾞｲﾏｽ！短編なんですけど、よくよく読み返してみたらちょっと設定合わない感じだった（笑）←友達に指摘されて気付いた。なので適当に「コレだな！」って思っておいてください。ずっと大事なところに残り続けるっていいですよね♪ (2020年2月3日 9時) (
レス) id: 9e1708fadb (このIDを非表示/違反報告)
羊羽(プロフ) - ちゃぼたんさん» 突然告白されてしまった（照）始まりも“終わった恋”だし、そこからも特に進展がある話じゃなかったから「コレどうなのかなぁ。」って思いつつ公開してたから、その感想嬉しいです！未来のための“この一瞬”って尊いな、と。 (2020年2月3日 9時) (レス) id: 9e1708fadb (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - おはようございます♪おお…///なるほど。思い出した昔の恋と忘れてない昔の恋が思い出となった瞬間。しかも悲しいんじゃなくて優しい思い出。あれ？これある意味ハッピーエンドだ(*´-`) (短編分からなかった…探す！) (2020年2月2日 8時) (レス) id: 18c83a81d5 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃぼたん(プロフ) - ハッピーエンドではないけれど、最後温かい気分になりました。必然の再会だったんですね、きっと。バングルを見つけた事も番協に当たったことも、この一瞬の交点の為。そしてまた温かな思い出をそっと抱きしめて、二人歩き出す。うん、好きです(突然の告白) (2020年2月1日 18時) (レス) id: 3a5d537559 (このIDを非表示/違反報告)
羊羽(プロフ) - めぐぽん(*´･∀･)さん» お互いにとって綺麗な思い出に出来てるのであれば、それはそれで幸せなことですよね。目次のとこの一文が、この話を集約したものって感じです。 (2020年2月1日 17時) (レス) id: 9e1708fadb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羊羽
| 作成日時：2016年5月17日 14時
