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その空気に耐えかねて言葉を発したのは自分だった。


「透さん、大したものないんですけど…ご飯食べますか?」

「あ、…ああ…実はなにも食べてなくて…」

「それじゃここだけ包帯巻いたら温めますから。待っててください」



一瞬躊躇したようだったけれど

それからは素直に処置を受けてくれた。




ーーー心配したんだから。



ーーー怖かったんだから。




声にならない言葉が手の震えに変わる。


それを悟られないような慌てて手を離すと

キッチンに向かい、お味噌汁が入った鍋に火をかけた。


大したものはない。


なんてことの無い、鮭の塩焼き、ご飯、味噌汁。

焼き魚には消化に良さそうな大根おろしと大葉を添えて。



ーーーくつくつと煮えて来たお味噌汁を眺めて居たら

どんどん涙が溢れてくる。



「…A… …」


「…っ、…はい」



ーーー背中に伝わる暖かさ。



後ろからギュッと抱きしめられる。



首元に顔を埋められ、生暖かい息がくすぐったく感じた。








「…怖かったですっ、とても…」

「…透さんと連絡とれ、なく、て」

「急に観覧車っ、止まる、し」

「電気、消えるしっ、」

「…透さんが、いなく、てっ、寂しく、て」



「…あぁ… …ごめん…ほんとうに…



一人にして、ごめん… …」






声に出したらその言葉は止まらなくて。



でもきっと透さんが守ってくれるって信じてた…




体をくるりと反転させられ向かいあうと、

悲しそうな、透さんの顔が見えた。



いつもの瞳とは、まだ違うブルーアイ。




「…透さん…貴方は、誰ですか…?」




もう、聞かずにはいられなかったーーー。

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設定タグ:安室透 , 降谷零 , 名探偵コナン   
作品ジャンル:アニメ
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NANA(プロフ) - アオさん» アオさんありがとうございます!訂正してきます^ ^ (2018年5月4日 10時) (レス) id: 33232cc3d6 (このIDを非表示/違反報告)
NANA(プロフ) - 薔薇さん» 薔薇さん初めまして。楽しんでもらえて嬉しいです^ ^続きもよろしくお願いします^ ^ (2018年5月4日 10時) (レス) id: 33232cc3d6 (このIDを非表示/違反報告)
NANA(プロフ) - ちりさん» ちりさん初めまして。キュンキュンしてもらえて嬉しいです。更新頑張ります^ ^ (2018年5月4日 10時) (レス) id: 33232cc3d6 (このIDを非表示/違反報告)
アオ - 安室さんに仕事は休みをとったのは、夜のうちに言っていましたよ? (2018年5月4日 9時) (レス) id: 95a693fe0b (このIDを非表示/違反報告)
薔薇 - とても素敵なお話で、更新を楽しみにしていました。執行人編、とても楽しみにしております。 (2018年5月4日 0時) (レス) id: cb8b72a93d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:NANA | 作成日時:2018年4月28日 16時

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