私の知らない瞳 〜安室透〜

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「赤井…貴様っ！」



キュラソーを取り逃がした。

呆然と燃え上がる炎を見上げたが、

そばに佇む赤井を見やる。


手にするライフルを目にすると

嫌でも憎々しい思いがこみ上げてきた。



しかし遠くでパトカーのサイレンが聞こえと、

拳を握ぎり、急いで車に乗り込みその場を後にした。



「風見か…ああ、取り逃がした。あとは頼んだぞ」



公に操作ができない分、

こうして後処理などは丸投げになってしまうことが多い。



しかしここでやるべきことをしなくては。



あのノックリストには世界中の潜入捜査官の情報が載っている。


自分はもちろんだし、CIA、FBI、その他世界の情報機関のものだ。



あれが持ち出されたとなると…



世界が大混乱することは間違いない。








『…透さん…無理だけは、しないでください』







ふと、先程ポアロを出るときにかけられた彼女の声が聞こえた気がした。





…明後日はAの誕生日だ。

この調子だと当日にお祝いできないな、思った。





ーーーこちらの世界に彼女を巻き込みたくない。




そう思うのに。




彼女の手を離すことは出来なくて。




でも、もしかしたら。




いつかは彼女の手を離さないといけない日がくるかもしれない。




そのときAに『安室透』としてではなく、




『降谷零』として見てもらいたい、だなんて…。








「…A… …」









ーーーそう思ってしまうのは今さらか。





ただのエゴか。

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