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ガタンゴトン、揺れる車両の中に人影はほとんど見られない。
窓の外は信じられないくらいに綺麗だ。
どんどんと落ちていく夕陽の光を反射して負けじと対抗するかのように広がる葉に茜色に染まっていく雲。まつ毛の影を落としてスマホに視線をあわせる隣に座ったセンラ。
外の景色に適うほどに綺麗だった。
放っておかれたような気持ちだが、めくるめく変わっていく見たことの無い地域の外の景色を見るのが楽しいからまあ良しとする。
──────あぁ、そうだ。こんな時間はもう終わるのか。
思い出してみればこれは単発バイトの1つでしかない。
今日が終わってしまえば私とセンラは昨日までのように一時も関わったことがないように他人を振舞っていつもの日常に戻るんだろうし、二度と会うこともできなくなるんだろう。
センラに頼めばもしかしたらこのまま友達として関係を続けていくことは出来るのかもしれない。
でもなにか、なにかが違う。
“友達”という関係性は私たちにまるで似合わない気がしていた。
友達ではないし、今の私たちの関係は今日だけの彼氏彼女だし、ずっと一緒にいたいけれど友達にはなりたくないし。
あぁ、複雑だ。
「……ん、もうすぐで着くやん」
「んん〜〜〜…………はあっ」
「ねむい？」
「……ちょっとだけ」
“めっちゃ眠そうやけど”
スマホから視線を外したセンラは私と視線を絡めてクスクスと笑った。
言い返せないその言葉に口を尖らせてセンラの方に頭を乗せた。
「……なんか、本物のカップルみたいだね」
「本物の、カップルなんやけどね」
「んん？なんて？あくびしてたら聞こえなかった」
「…………駅着いたわ、行こか？」
少し大きく揺れたせいで強めにセンラにかぶさってしまう。
そんな私を抱きしめるように受け止めて立たせてくれたセンラのその動作が妙に慣れている気がして、ほかの女の子にもこんな事をしているのだろうかと無意味な方向に思考は走る。
眠気とその考えを振り払うためにぶんぶんと頭を振って、よし、と手に力を込めた。
いつの間にか、外の景色はすっかり闇に包み込まれていた。
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ちょこ - とてもよかったです！その後話が欲しい！ (2020年1月13日 22時) (
レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
ね む(プロフ) - ふと思い出してまた読みに帰ってきました朝から号泣ですありがとうございます本当に本当にりどうさんと居たら一番好きな小説が決められなくなるよもう全部大好き、朝からちょっぴり切ないけど幸せな気分です (2019年10月10日 7時) (レス) id: 90904ccaf0 (このIDを非表示/違反報告)
こと - めっちゃ泣きました！！ありがとうございます！とてもいいはなしでした！ (2019年8月9日 2時) (レス) id: 7dcbe0da66 (このIDを非表示/違反報告)
さっちゃん(プロフ) - 涙腺が崩壊しております。こんなに感動するお話は、初めてです。これからも頑張ってください！ (2019年8月7日 11時) (レス) id: 472af6cc69 (このIDを非表示/違反報告)
Kizuha(プロフ) - 自分の不注意でネタバレすみませんでした…コメントは削除しました。作者様、Aさん、ご迷惑おかけしました… (2019年7月20日 8時) (レス) id: f4d4759676 (このIDを非表示/違反報告)
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