解除したい心のパスワード

＊ ページ7

＊



結局、なんの変化も訪れちゃいない。


俺の一世一代の告白は、華麗にスルーされてしまったわけだ。


あっ、思い出したら泣けてきた…


いや、泣かないけどね！


「あ゛ぁあぁあー…」


「おっやぁ？なにかお困りですか、北山さん」


わざとらしい声に、顔を上げた。


視線の先では、八重歯を覗かせた横尾さんが、なぜかビデオカメラをまわしていた。


カメラ？コンサートの特典映像でも撮っているのだろうか？


そう疑問に思いつつも、テーブルに突っ伏したままで情けない声を出す。


「横尾ざぁぁーん…」


「まだ決まらないんだ？太輔の誕生日プレゼント」


横尾さんの言葉に、ぐぅ〜、と呻く。


「横尾さんは？」


「おれぇ〜？もう決まってまーす」


満面の笑みを向ける横尾さんに、ぐぬぬ、と恨めしげな視線を向ける。


そんな俺をしり目に、横尾さんは向かい側の椅子に腰を下ろした。


「そんな根を詰めなくても」


「そうなんだけどさぁ…」


そう言いながらも上体を起こすと、テーブルに頬杖をついた。


スケジュール帳の『25』に視線を落とす。


特別な誕生日にしてあげたい！


そう思えば思うほどに、煮詰まっていた。



＊

＊→←キタヤマ氏の奮闘劇

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す