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それからミツは完全にふさぎ込んでしまった。
あんなに好きだった路上ライブすらままならない程に。
あんな経験をしたんだ。
『ホスト』なんて認められないだろ?
だから、ミツに現実を突きつけた。
これで良かった!これで良かったんだ!
そう思っていた筈なのに……。
「ふざっっけんな!…ふざけんな!ふざけんな!ふざけんなっ!!」
憤りをぶつけるかのように床を殴りつける『藤ヶ谷』を前に、俺は言葉を失っていた。
「太輔、やめろ!」
店主が止めにかかるが、『藤ヶ谷』は拳を振るい続ける。
その様相は鬼気迫るものがあった。
「遊びなわけねぇだろ!俺が…、俺がどんな思いで、距離縮めてたと思ってんだよ!!」
悲痛な叫び声が、店内を震わす。
「ゲスな野郎と一緒にすんじゃねぇよ。俺が…、どんだけあんたに惚れてるかも知らないくせに、勝手なこと言ってんじゃねぇよ…」
振り絞るように発せられる声に、胸が締めつけられる。
俺はもしかしたら、取り返しのつかない事態を招いてしまったのかもしれない。
その予感に、為すすべもなく立ち尽くすしかなかった。
すると、ポンと肩に手が置かれる。
振り向いた先に居たのは『玉』だった。
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作者名:ニコたん | 作成日時:2017年2月28日 14時