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北のターン ページ34





ずっとね、なんだか気恥ずかしくて、お店を訪れることが出来なかったんだ。


でも、いつかはあなたが淹れたコーヒーを飲んでみたいと思っていました。


だから、こんな形でここを訪れたくはなかった…。


「北山さん?」


どうしたんです?と困惑した表情をする藤ヶ谷さんに、縋るような視線を向けた。


「藤ヶ谷さん、嘘ですよね?」


「えっ…?」


「ニカがね、言うんです。あなたが昔『ホスト』だったって。違いますよね?そんなこと、…ないですよね?」


なんですか急に。そんなこと、あるわけないでしょ。


そう言って、笑い飛ばして欲しい。


だけど、現実はなんて残酷なのだろう。


「…いえ。本当です」


そう言って、藤ヶ谷さんは視線を逸らした。





それは、あまりにも突然のことだった。


スケジュールをこなし、帰宅しようとしていた矢先に、二階堂に呼び止められた。


「ミツ、話があるの。ちょっと座ってくれる?」


神妙な顔つきでソファに座るよう促す二階堂からは、ただならぬ気配が漂っていた。


ちらっと視線を向け、二階堂の向かい側に腰を下ろす。


「話?なに?どうかした?」


一拍開け、二階堂が重い口を開く。


「ミツ、単刀直入に言う。『藤ヶ谷』とはもう会わないで」


「ッ!おまっ、なんで、藤ヶ谷さんのこと…」


二階堂に彼のことは話していない。


にもかかわらず、何故彼の存在を知っているのだろうか。



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作者名:ニコたん | 作成日時:2017年2月28日 14時

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