北のターン ページ34
*
ずっとね、なんだか気恥ずかしくて、お店を訪れることが出来なかったんだ。
でも、いつかはあなたが淹れたコーヒーを飲んでみたいと思っていました。
だから、こんな形でここを訪れたくはなかった…。
「北山さん?」
どうしたんです?と困惑した表情をする藤ヶ谷さんに、縋るような視線を向けた。
「藤ヶ谷さん、嘘ですよね?」
「えっ…?」
「ニカがね、言うんです。あなたが昔『ホスト』だったって。違いますよね?そんなこと、…ないですよね?」
なんですか急に。そんなこと、あるわけないでしょ。
そう言って、笑い飛ばして欲しい。
だけど、現実はなんて残酷なのだろう。
「…いえ。本当です」
そう言って、藤ヶ谷さんは視線を逸らした。
それは、あまりにも突然のことだった。
スケジュールをこなし、帰宅しようとしていた矢先に、二階堂に呼び止められた。
「ミツ、話があるの。ちょっと座ってくれる?」
神妙な顔つきでソファに座るよう促す二階堂からは、ただならぬ気配が漂っていた。
ちらっと視線を向け、二階堂の向かい側に腰を下ろす。
「話?なに?どうかした?」
一拍開け、二階堂が重い口を開く。
「ミツ、単刀直入に言う。『藤ヶ谷』とはもう会わないで」
「ッ!おまっ、なんで、藤ヶ谷さんのこと…」
二階堂に彼のことは話していない。
にもかかわらず、何故彼の存在を知っているのだろうか。
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作者名:ニコたん | 作成日時:2017年2月28日 14時