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「んー…、恐い、というより、不安かな。受け入れてくれるかなって」
「そこは太輔の真価が問われるだろうな」
「だよね…」
「けど、誠意をもって伝えれば大丈夫だろ。太輔のその一途さは、若干引くレベルだからね」
そう言って肩を竦めた渉に、笑みをもらした。
「なにそれ。褒めてんのか貶してんのか、よくわかんないんだけど」
そう軽口を叩くと、心が少しだけ軽くなった気がした。
その時、カランカラン、とドアベルが鳴る。
「やっほー」
店に入ってきたのは、玉だった。
「玉?なんでここに?出禁になった筈でしょ?」
「それ勝手にガヤが決めたんじゃ〜ん。俺ワッターからは出禁言い渡されてないしー」
嫌みったらしい口調でそう言い、玉は隣の席に腰を下ろした。
「わ〜た〜」と恨みがましい視線を渉に向ける。
「俺は太輔の親友である以前に、店の経営者なの。玉は客だろ?親友の恋より売上げ優先」
また渉に切り捨てられ、カウンターに突っ伏した。
「裕太、それにしても珍しいな。太輔が居るときは顔出さないようにしてたのに」
渉に問われ、玉は「そうなんだけど…」と髪を弄る。
「ガヤの小耳に挟んどきたいことがあってね…」
「俺の?」と言いながら、身を起こす。
「そっ、ちょっとマズいことになるかも」
玉の不穏な言葉に眉をひそめた。
とその瞬間、ガランガラン!とドアベルがけたたましい音を立てた。
振り向き、固まる。
ドアの先に居たのは、ジャージにセカンドバック姿の厳しい顔をした男。
そして…。
「北山…、さん?」
今にも泣きそうな顔をした北山さんだった。
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作者名:ニコたん | 作成日時:2017年2月28日 14時