恋のスパイス～かけて・ひいて～ (ページ31)

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『まだ離れたくないんです。もう少しだけ、傍に居て下さい』

んな切ない声出すなよ。

俺の意志なんて脆くも崩れ去る。

「分かりました。少しだけですよ」

車を来客用スペースに停め、北山さんの元へと向かう。

嬉しそうに頬を緩める北山さんを見たら、なにも言えなくなった。

部屋に招かれて早々に、その唇を塞いだ。

玄関先だろうが気にしない。

「んんっ、…ダメ、藤ヶ谷さん」

唇が開いた隙を衝き、舌を口内に滑り込ませた。

「なに言ってるんですか。本当は、これを望んでたんでしょ？」

北山さんの舌を絡め取り、思う存分に味わう。

口では、ダメ、と言っていたけれど、北山さんの腕は首の後ろに回されていた。

本当、タチが悪い。

「んぅう……、ッ、あ……」

腰が抜けたのか、北山さんの膝がカクンと折れた。

咄嗟に腰を支え、唇を放す。

「ッ、はぁ…、はっ」

俺の胸にしなだれかかり息を整える北山さん。

その背中を、あやすように優しく叩く。

「ごめんなさい。つい夢中になってしまいました」

「はっ…、はぁ…、いえ、大丈夫です。気持ちよ過ぎてとろけちゃうかと思いました」

うっとりと呟かれた言葉に、一気に下半身に熱が集中する。

もう、なんなんだよ、この人。

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