* ページ26
*
身を反転させて向かい合うと、藤ヶ谷さんの首に腕を回した。
すかさず自分の方へと引く。
唇が触れるか触れないかの至近距離まで、互いの顔が近づく。
「北山さん!?」
驚愕の表情を浮かべる藤ヶ谷さんに、悪戯な笑みを向けた。
「際どいショットも必要でしょ?」
俺の言葉に、藤ヶ谷さんは目を見瞠った。
けれど、次の瞬間には表情を消した。
「へぇー、随分と大胆ですね」
藤ヶ谷さんの声色がどこか怒気を含んでいるように感じたのは、気のせいだろうか。
「普段からこういうこと、してるんですか?」
背中に手が添えられ、ぐっと引き寄せられる。
「いいえ。滅多にこういうことはしません」
「なら、今度からやめて下さい。俺こういうのは好きじゃないんで」
冷笑を浮かべ、藤ヶ谷さんが俺を引き剥がす。
「今日はもう終わりにしましょう」
走行音だけが響く車内には、重苦しい空気に満ちていた。
助手席から、藤ヶ谷さんの様子をチラリと窺う。
「あの、藤ヶ谷さん。なんか怒ってます?」
横目でちらっと視線を向けた藤ヶ谷さんは、涼しげな顔で言う。
「いいえ。怒ってませんよ」
怒ってないと言うわりには、声色が冷ややかだ。
「怒ってんじゃん」
拗ねたように唇を尖らせれば、ため息を返された。
*
182人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ニコたん | 作成日時:2017年2月28日 14時