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いざなわれるかのように、北山さんの唇に吸い寄せられそうになった時、宮の声が飛んだ。
「ガヤさん、今日はぐらいで終わりにしましょう」
その声にはっと我に返った。
咄嗟に笑みを浮かべ、取り繕ろう。
「だそうですよ、北山さん」
「うわっ、なんか悔しい」
「次はもうちょっと頑張って下さいね」
そう言うと、次?と北山さんは眉をひそめた。
「当たり前じゃないですか。もっと教えてもらわないと困ります」
「マジか」と胸に寄りかかる北山さんを受け止め、宮に視線を向ける。
助かった、と目配せすると、宮は小さく頷いた。
「そういえば北山さん。結構いい時間になってますけど、帰りはどうするんですか?」
車?と訊ねると、首を横に振る。
「なら送りますよ。俺、車なんで」
「いや、それは悪いから…」
「遠慮しないで。わざわざ足を運んでもらった上に、撮影まで付き合ってもらったんだから。それぐらいさせて」
「でも…」
なおも渋る北山さんを、ねっ、と半ば強引に押し切り、先に下に向かわせた。
階段を降りる足音を確認してから、宮に近寄る。
「ごめん、宮。助かった」
「もぅ、気をつけて下さいよ。慎重に事を進めたいって言ったのは誰ですか?」
ムッと顔をしかめる宮に、ため息を吐いた。
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作者名:ニコたん | 作成日時:2017年2月28日 14時