検索窓
今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:52,433 hit

ページ19





いざなわれるかのように、北山さんの唇に吸い寄せられそうになった時、宮の声が飛んだ。


「ガヤさん、今日はぐらいで終わりにしましょう」


その声にはっと我に返った。


咄嗟に笑みを浮かべ、取り繕ろう。


「だそうですよ、北山さん」


「うわっ、なんか悔しい」


「次はもうちょっと頑張って下さいね」


そう言うと、次?と北山さんは眉をひそめた。


「当たり前じゃないですか。もっと教えてもらわないと困ります」


「マジか」と胸に寄りかかる北山さんを受け止め、宮に視線を向ける。


助かった、と目配せすると、宮は小さく頷いた。


「そういえば北山さん。結構いい時間になってますけど、帰りはどうするんですか?」


車?と訊ねると、首を横に振る。


「なら送りますよ。俺、車なんで」


「いや、それは悪いから…」


「遠慮しないで。わざわざ足を運んでもらった上に、撮影まで付き合ってもらったんだから。それぐらいさせて」


「でも…」


なおも渋る北山さんを、ねっ、と半ば強引に押し切り、先に下に向かわせた。


階段を降りる足音を確認してから、宮に近寄る。


「ごめん、宮。助かった」


「もぅ、気をつけて下さいよ。慎重に事を進めたいって言ったのは誰ですか?」


ムッと顔をしかめる宮に、ため息を吐いた。



*→←*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (121 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
182人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ニコたん | 作成日時:2017年2月28日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。