恋のスパイス～かけて・ひいて～ (ページ14)

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「なんで北山さんがここに？」

顔を覗き込まれそうになり、咄嗟に腕を突き出した。

「これ！返そうと思って」

サングラス？と訊ねられ「ん」と頷く。

「ここで撮影があるって宮田から聞いたから」

ぐいっと突き出すと、『ガヤ』は困ったような笑みを浮かべた。

そして、サングラスを受け取る。

「これ、北山さんへのプレゼントだったんだけどな」

「え？」

「お近づきのシルシ、っていうのかな？北山さんと接点を持ちたかったんだよね」

ほら、北山さん芸能人だから…、と『ガヤ』は寂しげに微笑んだ。

「もう一度、北山さんに会いたいって思ったから、これ渡したんだ。また会えますように、って期待を込めてね。でも…、北山さんから会いに来てくれるなんて、嬉しいな」

そこで『ガヤ』は一旦言葉を切り、穏やかに微笑んだ。

そっと俺の手を取り、手の上にサングラスが置かれる。

「ねぇ、北山さん。また会いたいから、これは北山さんが持ってて」

「でも…」

お願い、と圧され、ぎこちなくも頷いた。

「ふふっ、良かった。拒否されたらどうしようかと思った」

おどけたように『ガヤ』が肩を竦める。

「そんなこと…、しないよ」

だって俺も、また会いたいと思ってるから。

そんな本音は心の内にそっと仕舞った。

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