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『宮』の話を掻い摘めばこうだった。


『ガヤ』は友人の経営する喫茶店でバリスタとして勤める一般人。


あの日局内に居たのは、スタジオの見学に訪れていたから。


なんでも、長らくモデルの依頼をしているが色より返事が貰えず、悪あがきで見学に誘ったのだそうだ。


なるほど、そういうことか、と得心し、宮に視線を向けた。


「で、引き受けてもらえたの?」


「ええ、なんとか。明くる日が休みで、店の閉店後、ってのが条件ですけどね」


「ふーん」と相槌を打つと、宮がにこやかな顔を向けた。


「なんなら、見に来ます?ガヤさんにも会えますよ?」


そう言って、宮はスマホを取り出す。


そして、この日なんですけど、とカレンダーを指し示した。


宮が指定した日は、俺のスケジュールも午後からオフになっていた。


明くる日の仕事は確か……、夕方からだ。


「あっ、でも、忙しいですよね?」


すみません、とばつが悪そうに頭を掻いた宮に、「いや…」と咄嗟に取り繕ってしまった。


「その日は午後からオフだけど…」


「あっ、そうなんですか…」


なんとなく気まずい雰囲気が流れ、宮が慌てたように言う。


「まぁ、その…。気が向いたらで、大丈夫ですよ」


そして宮が「そうだ」となにかを取り出した。


「これ、俺の名刺です」


「あ…、どうも」


「下の方に記載されてるのが事務所の住所。そこで撮影するんで、気が向いたらいらして下さい」


そう言うと、宮は小さく会釈した。



*→←北のターン



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作者名:ニコたん | 作成日時:2017年2月28日 14時

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