恋のスパイス～かけて・ひいて～ (ページ11)

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北のターンページ11

＊

「ここか…」

名刺を片手にビルを見上げ、ポツリと呟いた。

結局、来てしまった……。

けど、なんとなく入るのを躊躇い、明かりの灯る部屋を見つめた。

あの日の情景が蘇える。

「あいつ…」

スタジオ入りして辺りに視線を巡らせていると、見知った顔を発見した。

カメラの機材を運ぶ男。

あの日『ガヤ』と一緒に居た『宮』だ。

まさかジャケ写の現場で『宮』に出くわすなんて思いもしなかった。

「あいつ、カメラマンだったのか？…いや、今まで気づかなかったのを考慮すれば、アシスタントか？」

…まぁ、細かいことはどうでもいいや。

とにかく『宮』に近づけば、『ガヤ』の情報を探れるかもしれない。

それとなく『宮』に近づき、声をかける。

「なぁ、あんた。『宮』だろ？」

「えっ？」と驚いた顔を向けられ、慌てて補足する。

「あっ、悪い、急にごめん。でも、この間一緒に居た『ガヤ』のことが知りたくてさ」

「ガヤさん…、ですか？」

そう、と頷けば、宮は、はぁ、と曖昧に相槌を打った。

「カッケー兄ちゃんだったのに、テレビとかで見かけないからさ。あいつ、業界人じゃないのか？」

「違いますよ。ガヤさんは…」

＊